「まだ克服までいっていない」「やめたとは言えない」薬物依存症の当事者が語る“脱却の難しさ”
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 おととい覚醒剤を所持した疑いで逮捕された元タレントの田代まさし容疑者(63)が8日朝、送検された。覚せい剤所持での逮捕は2001年、2004年、2010年に続き、4度目。2004年の事件で実刑判決を受け、最初の服役から出所した2008年に「自分の中で(薬物を)やめられるって自信があるんで」と当初はリハビリ施設を利用せず、自力での克服を語っていた田代容疑者だが、その2年後に再び逮捕された。

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 そして2014年に出所した後は、薬物依存のリハビリ施設「日本ダルク」の職員となり、同じ立場の仲間とともに薬物依存と戦いつつ、テレビやイベントで薬物依存の怖さ、克服の難しさを訴えてきた。そんな中での再びの逮捕。作家の沖田臥竜さんは「やめられるかのめり込むかは、“このままでは自分の人生が台なしになる”と気付けるかどうか。やめるために治療を受けている時点で“やめなければ”と四六時中考えていることが逆に薬物を忘れられない状態なので問題ではないか」と指摘している。

 7日放送のAbemaTV『AbemaPrime』では、薬物依存からの脱却の厳しさについて、当事者たちに話を聞いた。

■元暴力団組長「結局は本人の意思次第だ」

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 「頑張って欲しいな、とは思っていたが、田代さんはもう1回は行くやろうなと思っていた。そういう噂も出ていた。売りやすいターゲットかもしれないが、有名なのでリスクも大きいので、決して“良い客”ではないと思う」。そう話すのは、支援団体「日本達磨塾」代表を務める木佐貫真照さん。元暴力団組長で、違法薬物の売人をやっていた時期もあるという。自らも覚せい剤使用の経験者だ。

 「私が覚せい剤を始めたのは25歳の時で、きっかけは組長から密売人を紹介してもらったことだ。他の人から比べると遅かったと思う。大阪で一番大きな組織で、そこで1kg、2kgというのを見て、“こんなもんか”と思った。そして、末端の小さなパケを1万円や2万円で買う人の心境も、その時は分からなかった。しかし、自分の体に入れてからは、“密売人は天職だ”と思った。これが薬物の魅力だ。池田さんが仰ったように、自分だけではやめられない。周りが支援してくれないことにはだめ。やはり一種の病気なので、意志が強い・弱いの問題ではない。それでも本当にやる気をださないとだめだ。田代さんに関しても、結局は本人の意思次第だ。私自身、まだ克服までいっていないと思う。10年やめて初めて“やめたのかな”と思えるのではないか。そんなにすぐにやめられるものではない」と話した。

■10代で依存症に…2度服役した男性「絶望はしてほしくない」

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 依存症回復支援に取り組むワンネスグループ名古屋の池田秀行代表は、自身も10代の頃から薬物を繰り返してきた経験を持つ。

 「これまで2度服役したが、売人の番号を抹消したり、そういう場所に近づかないというふうに自分でも色々努力はする。僕の場合も、周囲の人が“これで最後だぞ”“反省したのか”と声をかけてくれたが、生返事をするしかなかった。自分でも、このままではいけないとは分かっているし、信頼関係を裏切りたくない気持ちもある一方、本音では自信がない。もっと言うと、できればまだやりたいという気持ちが残っている。そして日々の生活の中で、対人関係や将来のことなどの壁に直面した時、薬のことがふっと頭をよぎる。昔は特定の密売人とのコネクションがなければ手に入らない、アンダーグラウンドな事だったが、今は一般の人でもスマホがあれば簡単に手に入る状況だ」。

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 それでも池田さんが薬物を断ち続けられているのはなぜなのだろうか。

 「薬物を使い続けていると、いろんなものを失っていく。僕自身、支援してくれていた人たちがどんどん離れていき、最終的には孤立した。覚せい剤を打って、首を括って死のうと思ったこともあった。でも、簡単には死ねなかった。もっと生きなきゃと思った。そのときに、ワンネスグループと出会った。私も覚せい剤をやめて、まだ6年半くらい。最近では“やりたい”という日は無くなってきたが、それでも大きな声で“やめた”と言える立場ではないし、再発というリスクに対して注意して生きている」。

■「家の中で抱え込まず、一度電話をいただければ」 

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 その上で池田さんは、薬物依存症が“治らない”と言われていることについて「依存症はその人の信念とか意思の強さ・弱さとは全く関係ない精神疾患で、よく“治らない”とも言われる。また、“傷を舐め合っている”と揶揄する人もいるが、打ち明けられなかった切実な感情を共有するところからスタートし、少しずつ信頼関係を深めていくことで、友達でもないし、家族でもない、今までの人間関係ではなかった出会いが生まれる。私の周りにはそうしたプログラムに取り組み、周りの協力によって、5年、10年とやめられて、社会復帰できているメンバーもたくさんいる。だから絶望はしてほしくないと思う。色んな方に迷惑をかけ、傷つけた僕が言うのは自分勝手なことだが、今は自分の依存症について、ハンデを背負っているという感じがない。これも1つの自分のアイデンティティだと思っている部分もある」と話した。

 池田さんの所属するワンネスグループでは、依存症相談ダイヤル(0120-111-351)で、薬物依存のほか、アルコール、ギャンブル、ゲーム、ホストクラブなどに依存する本人や、その家族を含め去年1年間で全国から1400件の相談が寄せられているという。「専門のスタッフたちが解決につながるような話をするので、家の中で抱え込まず、一度電話をいただければ」と呼びかけていた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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