残留目前のゼルビアが優勝目前の柏レイソルを迎えるホーム最終戦! 期待は漆黒のストライカー
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 苦しい戦いが続いた今季だったが、ようやくゴールラインが見えてきた。

 ホーム2連戦の初戦となった前節のレノファ山口戦で、ゼルビアはFW土居柊太のゴールで1-0の勝利。実に17試合ぶりとなるホームでの白星を手にし、J2残留に王手をかけた。16日に行われるホーム最終戦の明治安田生命J2リーグ第41節で、引き分け以上の結果に終わればJ2残留を自力で決める。

 しかし、今回の対戦相手は首位の柏レイソル。2位の横浜FCに5ポイント差をつけており、ゼルビア戦で勝利するとJ2優勝が決まる。そんな最強の敵を迎える大一番で、頼れるのはやはりあのベテラン選手だろう。

2試合を絶対に勝つつもり

「(ホームでの残り)2回を絶対に勝つつもりで戦う。その2試合で勝てれば残留という結果もついてくる。みなさんの後押しの中で試合ができるので、その中で勝ち切れるようなチームになっていきたい」

 ホームで行われた第38節のFC岐阜戦をドローで終えた直後から、FW中島裕希の視線は今季最後のホーム2連戦に向けられていた。

 今季のゼルビアが苦戦している要因の1つはホームでの成績。「今年は取れそうで取れない、勝てそうで勝てないゲームが続いている」と相馬直樹監督の言葉が示すように、38節終了時点で2勝11分け6敗と勝ち点を積み重ねられていない。

 不甲斐ない戦いが続くなか、中島は常に「応援してくれるサポーターに勝利を」と強い思いを語ってきた。だからこそ残された2つのチャンスに向けて「絶対に勝つ」と並々ならぬ決意を口にしたのだろう。

 その思いからか、ホーム2連戦の初戦となった山口戦では、中島の左足が起点となって先制点が生まれる。追加点こそ奪えなかったものの、中島の躍動感あふれるプレーでスタジアムは一体となり、17試合ぶりの白星を掴むことができた。

 ホームで勝てない状況は選手たちにとって、とてつもないプレッシャーだったはず。山口戦での勝利はまさに「きっかけになる勝利」(相馬監督)。呪縛から解放された今こそ、本当のゼルビアを見せることができるだろう。だからこそ今回の柏戦は面白い戦いになるはずだ。

 連動した堅い守りとロングカンターを武器とする柏は、リーグ最多となる69得点にリーグ最小の32失点と間違いなく今季のJ2リーグで最高のチームだ。一方のゼルビアは34得点。これは降格圏に位置する栃木SCとFC岐阜の31得点に次いで悪い成績だ。

 しかし山口戦で見せた土居と中島の2トップが柏戦でもハマるかもしれない。もともとは裏への抜け出しを得意とする中島だが、土居のような勢いのあるアタッカーと組む際にはベテランらしく黒子に徹することができる。

 柏のDF染谷悠太とDF鎌田次郎のセンターバックコンビは人に対する強さを見せるため、真っ向勝負では分が悪い。しかし積極的なフリーランニングと巧みなポジション取りで相手を撹乱できる中島ならば、リーグ最強のディフェンスを相手にしても攻撃を組み立てることが可能だ。

 とはいえ苦しい戦いになることは間違いない。それでもここまで応援してくれたサポーターの目の前で残留を決めるために。ファンへの感謝の言葉を口にしてきた漆黒のストライカーが、ゼルビアを残留に導く。

文・川嶋正隆

写真・森田直樹/アフロスポーツ

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【映像】FC町田ゼルビア 対 柏レイソル(提供:DAZN)
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