俳優の沢尻エリカ容疑者(33)が16日、東京・目黒区の自宅マンションで合成麻薬「MDMA」約0.09グラムを所持していた疑いで逮捕された。
捜査関係者によると、沢尻容疑者は違法薬物を「長年にわたって使っていた」という趣旨の供述をしていることがわかった。また、警視庁への取材で沢尻容疑者が「これまで大麻、MDMA、LSD、コカインを使用していた」と話していることがわかり、警視庁は日常的に違法薬物を使っていた可能性があるとみて調べを進めている。
MDMAは別名「エクスタシー」と呼ばれる、覚醒剤に似た化学構造を持つ合成麻薬。多幸感や高揚感、一体感などが強まり、男女関係やパーティーなどで悪用されることが多い。一方で、精神の錯乱や内臓の機能障害、不安・不眠、異常な高熱や低ナトリウム血症など死に至るケースもあるという。
MDMAは通常錠剤だが、沢尻容疑者の自宅からは粉末状でカプセルに入った状態で見つかったという。臨床心理士で心理カウンセラーも務める明星大学准教授の藤井靖氏は「MDMAは“セックスドラッグ”や“クラブドラッグ”といわれ、サプリメント的に手軽に使われている部分がある。違法薬物の依存症の方に話を聞くと、錠剤1つで大体4000~5000円と高額だが、沢尻容疑者のように粉末状というのは手慣れた方法。MDMAは海外のあまり衛生状態がよくないところで製造されている場合もあって、錠剤にはコアな薬効成分と多数の混ぜもの(不純物)が入っていることが多く、純度が高いものを求める人は粉末のパターンがある」と指摘する。
また、MDMAの危険性について「『意欲』や『感情コントロール』、『幸福感』の元になるセロトニンやアドレナリン、ドーパミンといった脳内の神経伝達物質を意図的にコントロールする行為なので、数時間で薬の効果が切れると逆に落ち込んだり不安が強まったりすることが多い。未来の自分の幸せ感や元気を前借りしているようなもの」と説明した。
直近、薬物による芸能人の逮捕が相次いでいるが、芸能界はメンタルヘルスを保つことが難しい環境なのか。藤井氏は「最近こういった報道の時に『刑罰だけを加えるのではなく治療を受けさせるべき』という話が挙がる。確かにそれも重要だが、それ以前の問題もあると思う」とした上で、「芸能人は一般でいうところの所謂非正規雇用だったり契約社員だったりで、多くのお金をもらっていても仕事がいつまで続くかわからない不安感が常にあると思う。一般的な労働者の高ストレスの要件として、『仕事の要求度が高い』『仕事の自由度が低い』『周囲のサポートが少ない』ということがある。芸能人は直接的に高いクオリティ、パフォーマンスを求められる上に、依頼された役柄、立場をこなさなくてはならないなど意外と自由度は低い。また、『上司の見守り』、『職場内の産業医、臨床心理士のケア』、『福利厚生としての職場外の相談先の確保』など大企業にあるようなメンタルヘルスケアの仕組みが実質的にないパターンは多いと考えられる。カウンセリングで話を聞くと、芸能人の方は客観的には多くの人が周りにいて、孤独でないようにも見えるが、精神的な孤独はまた別。そうなると、何かしらの方法でその気持ちを解消して仕事と向き合いたいという心理はあり得ること」との見方を示す。
また、沢尻容疑者の常習性や依存度については「たまたまかもしれないが、手荷物検査ではバッグに(違法薬物は)なかった。やはり常習性、依存性が高い人は使わなくても安心するために持っていることが多い」と疑問を呈した。一方で、「これだけ厳しい社会的制裁を受けることが分かっていても使い続けてしまうのは、使っていてもばれていない人が摘発された人以上にたくさんいることが悪い意味での安心感につながっているからではないか」と懸念を示した。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)
▶映像:イベント出演時の沢尻エリカ容疑者
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