集まる目的を明確にせよ!職場にはびこる“クソ会議”を駆逐するためには? 山口周氏に聞く
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 働き方改革関連法の施行から半年以上が経過した。しかし組織で働くひとにとって、仕事に対する不満は山積みだ。 

 街行く人に話を聞く中で、とりわけ多かったのが「会議」にまつわる疑問だ。「同じようなネタをしゃべるやつ」(49歳)、「長い」(29歳)、「なんでパソコンで見て分かることを集まって話し合うのかな?」(24歳)。1万人以上が在籍する大企業で1年間に費やされる会議時間は約235万時間(約268年分に相当)に上るといわれており、このうちの3割に当たる約67万時間(約76年に相当)は無駄だと考えられているという。そもそも何を決めるかが決まっていない会議、参加者が事前に読んでおけばいいものを、資料を延々と読み上げる会議。そうした会議の無駄に費やされている年間の人件費の損失は大手企業で約15億円にもなるという試算もあるようだ。

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 今年4月に設立されたSmartMeeting社では、会議運営のサポートを事業展開しており、すでに300社以上から引き合いがあるという。代表取締役CEOの佐々木真氏によると、準備不足を助けるサービス、まとめ役が目的や議題、事前に共有しておくべき情報や役割をフォーマットに沿って入力、参加者が事前に確認するようチャットツールが自動的に通知するサービスなどを提供。さらに終了後には参加者が5段階評価、コストを自動計算してくれる機能もある。「1時間の会議だったけど、30分でいいじゃないとか。そもそも別にやらなくてもいいかもね、とか、メールで済むかもね、とか。そうして浮いた時間を本当にやるべきことに集中させることで、結果的に生産性が上がる」(佐々木氏)。

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 日々多くの会議をこなすリディラバ代表の安部敏樹氏は、「大前提として、“クソ会議”はどうしても生まれてしまうし、目的を達成した後も慣習になってしまう会議も生まれてしまう。だから定期的に“これ必要ないんじゃないの”というような話をして、見直さないとダメだ」と指摘する。「アジェンダがなく、目的も不明瞭なミーティングはやりたくないが、メンバーの中には自分で議題を設定するのがまだ難しい人もいる。その能力を育成することも大事だと思うので、会議の仕方を教えてくれる外部のサポーターに伴走してもらうということを実施している」。

 著書「ニュータイプの時代」が話題の独立研究者で著作家の山口周氏は「安部さんのスケジュールを見て、いいなと思ったのは、30分のミーティングが多いということ。なぜか世の中の会議のほとんどがデフォルト1時間で設定されている。僕もコンサルとして企業に伺ったとき、最初の10分で大体のことが決まってしまって、残りの50分、“何をするんでしたっけ”ということがあるし、“そもそもこれ、メールでよくないか”みたいなことも多い。会議の目的や共有する内容の濃さが明確にあれば、それに応じて、長さを伸び縮みさせることが可能だと思う」と話す。

 「極論すると、会議というのはギリシャ時代からあって、基本的にはこちらから相手に情報を伝え、逆に参加者から情報を得る。そして、場合によっては議論をするものだ。インターネットやメールがなかった時代は全員に電話で伝えたり、メモで書いて伝えるのは大変なので、会議をした方が効率が良かった。しかし今なら情報の受け渡し渡すだけならメールでいいし、Slackみたいなものもある。だから関係者が集まって議論して、情報が複雑に行き交う中で物事を決める、ということを目的にする以外、ほとんどの会議には意味がない。その点、組織の上にいる方たちはメールが普及する前の文化で育っているので、若い人たちとは断絶があると思う。そして、みんながやめたがっている、嫌がっているにも関わらず、なぜ“クソ会議”が無くならないかと言えば、会議が好きな人がいるからだ。それはやっぱり偉い人たちで、仕事がなくて、暇な人たちだ。彼らにとって、“あれどうなってるの?これどうなってるの?”と部下をいじるような会議はとても楽しい。そして机に戻って新聞を読んだり、インターネットをいじっている。そして、そういう上がダメなのは、下もダメだからだ。上に対して、“こんな会議いるのか?”“こんな会議は無意味なので僕は欠席する”と突き上げないから増長していく。“根絶は不可能”なんて言っているからいつまでも根絶しない。あなたがほったらかしにしているからずっと続いているということだ」。

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 他方、安部氏は「うちでは週に1回、全員が集まって共有だけをする会議を実施している。最初にサイコロを振って出た目(テーマ)に応じて隣の人と1分半ずつ話さないといけない。そうして週1くらいはちゃんと顔を合わせるコミュニケーションをさせておかないと、次第に“こいつにここまで言ってもいいのかな”と不安になってきてしまうし、議論も活発にならなくなると思うからだ」と話す。

 山口氏も、対面でコミュニケーションをすることの必要性も強調する。「情緒的な関係ができないと仕事うまくいかないし、メールやSlackは機微が伝わりにくく、言葉がきつくなってしまったり、きついことを言っていると受け取られてしまうことがある。だからこそ潤滑剤的なものはフィジカルにやった方がいい。みんなが集まって話すことのメリットと、そのための移動時間とのコストの見合いもあるとは思うが、お互いに微妙な表情を見ないといけないなど、非常に複雑で、色々なアイディアのやり取りが必要な問題を扱う時には集まった方が早いケースもある。また、雑談をするという会議があっていいもいい。メインの話はSlackなどでやって、会った時は雑談しようぜと。2時間、ただ“昨日のドラマ見た?”みたいな。物理的に会うなら徹底的にウェットな関係を作る場にしてしまってもいい」と提案していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

▶映像:ムダなクソ仕事を撲滅するには?「ニュータイプの時代」著者・山口周が語る! 

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