「生きる力を欲したら宇野薫の試合を見ろ」 青木真也「僕もその一人だ」
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勝利後のマイクで涙を流す宇野薫

 翌日に仕事を控えた日曜日の夜は憂鬱だとはよく聞く話です。

 40歳前後で仕事に必死で向き合っていたら、下からの突き上げと上の妖怪っぷりに投げ出しそうになるだろうし、そもそもの生き方自体をどう生きていこうかと悩みは尽きないでしょう。働くとか生きるって悩みが尽きないし、諦めて生きることもそれはそれでできないから、苦しいものです。

 11月24日、後楽園ホールで44歳を迎えた宇野薫がプロフェッショナル修斗「SHOOTO 30th ANNIVERSARY TOUR FINAL」のメインイベントを張りました。今の格闘技ファンには伝わっていないのかもしれませんが、宇野薫は時代の中心にいた選手で現象を作ってきた選手です。UFCのタイトルマッチまで行っているし、ファッション雑誌の表紙を飾って、格闘技を現象にした選手です。宇野薫に熱狂した40歳前後の世代はちょうど人生の勝負どころを迎えている頃でもあり、彼がまだ現役のファイターとして試合をしていることを自分と重ね合わせる人は多いのではないでしょうか。

「生きる力を欲したら宇野薫の試合を見ろ」 青木真也「僕もその一人だ」
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(青木君、やっと言えるよ…「俺たちはファミリーだ」)

 達観したっていいじゃないか。宇野薫。

 宇野薫は今でも常に向上心を持って取り組んでいるし、自己否定を繰り返して、進化しようと日々に向き合っています。歳をとると理由をつけて諦めることを覚えるものです。それを達観と言ったりするのだろう。僕は「達観したっていいじゃないか。宇野薫。」と感じることがあります。そこまでして自分を追い詰めなくても、もっと楽な道はあるではないか。実績に胡座をかいたっていいじゃないか。身を切るような日々を過ごさなくてもいいじゃないか。

 宇野薫は挑戦することを止めない。その挑戦はバカげているのかもしれない。

ただ教訓には先人が失敗しているからこそやめておく性質のものと、失敗する可能性が高いけれどもやめろとは言えない性質のものがあると思っています。挑戦とか恋愛は失敗する可能性が高くてもやめろとは言えないもので、何故ならばそれをしなければ人生自体がつまらないものになるからだと思っています。ここら辺のことは坂口安吾の「恋愛論」を読むと丁寧にかいてありますので、興味があったらどうぞ。

 宇野薫は勝利後のマイクでこう締めた。「宇野薫もまだまだ走り続けますので、応援よろしくお願いします」と。彼は挑戦をやめない。達観するときは来ないのだと思います。格闘技を通じて何を伝えたいのか、主義主張や思想信念が大事だと考えています。ただ試合をしても試合であって、そこにメッセージや物語がなければ人は見ないはずです。そこにメッセージや物語があるから初めて自分ごとになるのです。宇野薫は常に挑戦、改善して立ち向かっていくことの大切さを人々に投げかけ続けているし、彼に助けられている人はたくさんいます。その一人が僕だ。

 今からでもいい。何かに立ち向かう力、生きる力を欲したら宇野薫の試合を見たらいい。

文・青木真也

【映像】宇野薫、チョークで極めて男泣き

フェザー級 マーカス・ヘルド vs 宇野 薫 | 動画視聴は【Abemaビデオ(AbemaTV)】
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