30日に行われた『格闘代理戦争 K-1 FINAL WAR』のトーナメント1回戦、「魔裟斗軍」対「SKR連合」の勝ち抜き戦で、若干16歳のファイターが大番狂わせを演じてみせた。
トーナメント1回戦第3試合で対戦したのは、魔裟斗率いる魔裟斗軍と、佐藤嘉洋率いるSKR連合。魔裟斗軍の相手は「ミスターX」と発表されていたものの、直前に佐藤であることが判明。さらには城戸康裕とK-1ジム総本部代表の梶原龍児も佐藤の援軍に加わった。
試合前、魔裟斗は「かなりいい仕上がりできているので大丈夫」「レベルが違う」と自信をのぞかせていたが、そんなK-1レジェンドの自信を打ち砕いたのが、生まれながらに聴力障がいを持つ16歳の古宮晴(ふるみや・はる)だった。
魔裟斗軍の先鋒・児玉兼慎との対戦こそ互角の攻防が続いたが、激闘の末、古宮が判定勝利。続いて魔裟斗軍の中堅・小田川文也と対戦。疲れを見せない古宮は、序盤に小田川との打ち合いに応じるとダウンを奪い取り、これが決め手となって二人抜きとなった。
河津伸太郎との大将戦に挑んだ古宮は要所でカウンターを繰り出して河津をけん制。三度判定に持ち込まれたが、ここでも軍配は古宮に。優勝候補といわれた魔裟斗軍の猛者を相手に、『格闘代理戦争』では初となる三人抜きの快挙を成し遂げた。
合計6ラウンドを闘い抜いた古宮に、観客席からは惜しみない拍手と歓声が送られた。16歳の古宮は聴力障がいを持っており、両親が「気持ちの強い子になってほしい」とジムに通わせたのが格闘技の道を歩むきっかけだ。
勝利の立役者となった古宮は「僕は生まれつき耳が聞こえなくて、試合中も何も聞こえない状態で試合をしています。今日の3戦目のときにしんどくて……腹も効いて倒れそうになったんですけど、みんなの気持ちがどんどんと入ってきて『負けてられんな』と思ってしっかり耐えました」とコメント。すると、会場からはひと際大きな歓声と拍手が沸き起こった。