他のユーザーと自由に会話ができるオンラインゲーム。PCだけでなくスマホや家庭用ゲーム機でも続々とリリースされ、今や国内のユーザー数は約4000万人に達するとの試算もある。(ITジャーナリスト・三上洋氏調べ)。
ゲーム内で仲が良くなればIDを交換、その先にはSNSでやり取りし、リアルで会うことも可能だが、街で聞いてみると、それは珍しいことではないようだ。
「実際に会って一緒に遊んでいる友達もいる」(女性・中3)
「通話機能で仲良くなったと言っていた。付き合って、また違う男の子と付き合って…みたいなことを繰り返している子もいる」(女性・19)
「まあ20人以上は会ったかな。交際に発展もした。会うのが特別なことだとは思わない」(男性・30代)
ところが、こうした手軽さを悪用し、子どもが犯罪に巻き込まれるケースが相次いでいる。中には援助交際やパパ活を持ちかけたり、恥ずかしい写真を送らせて脅しに使ったり、優しい言葉で誘い出し監禁したりするケースもある。去年9月には、香川県高松市に住む20代の女がオンラインゲームを通じて福岡県に住む小学6年(当時)の男子児童に接触。自宅アパートに呼び寄せ、性行為に及んだとして逮捕され、衝撃を与えた。女は後に懲役3年・執行猶予5年の有罪判決を言い渡されている。
■小中学生が積極的に参加する一方、出会い目的の大人も…
「“フレンドにならない?”って言われて。すごいデレデレしていて気持ち悪かった。顔を見せてと言われて」。
番組が取材したある男子児童(小6)は、ゲーム内で大人の男性に話しかけられた時のことをこう振り返る。母親は「怖いと思って、すぐにブロックするように言った。私も甘かったなと思うが、ゲームを全て禁止してしまうと自由がなくなってしまうと思う。定期的にチェックして、おかしなやり取りをしていないかは見ていきたいと思っている」と明かした。
ゲーム実況系YouTuberのぱい美さんは、オンラインゲーム上で週に2~3回は声をかけられるのだという。
「やはり、あからさまに出会い目的だと感じる人も多いと思う。“どこ住みなの?”から始まって、“何歳なの?”“LINE交換しよう”と。連絡先は教えていないと言って断っていて、大抵の人は“そうですか”と言うが、たまにしつこい人もいる。私の生配信中に下ネタを言ってきたり、ツイッターのDMに100回くらい“好き”と送ってきたり。怖かった」。
そんなぱい美さんも、やはり小中学生のユーザーが増えてきていると感じている。「私がクラブマスターみたいになっているゲームにも、入りたいと言ってくる小学生はすごく多い。ほとんど断るが、節度を守れそうな子の場合は一緒にやる場合もある。やはり子どもがゲームをやっているのを親御さんが分かっていないことは多いのではないか」。
■“同級生ともSNSで…”がハードルを下げる?
慶應大学の田代光輝特任准教授は、研究の過程で小学生のユーザーと出会った経験について驚きを持って紹介する。
「武器の使い方や魔法のかけ方をすごく親切に教えてくるユーザーがいた。1時間くらい経って“ありがとう。明日お仕事頑張って”と言ったら、“明日、学校だよ”と言われた。驚いて“何年生?”と聞いたら、小5だと。音声チャットであれば分かったかもしれないが、テキストだとほとんど分からない。やはり小学生のスマホ利用が広がっているし、ゲーム自体は年齢認証の入っていないものであれば、誰でも使うことができる。また、ボイスチャットなどコミュニケーション機能が高度になる中、一つの敵をみんなで倒していくというのはとても一体感があるので、すぐに距離が縮まってしまう。そこに子どもが入ってきてしまうことで、事故になる割合も相対的に増えてしまう」。
田代准教授によると、子どもがオンラインゲームで狙われるようになった背景には、出会いサイトが年齢認証を強化したことや、“若者限定SNS”減少したことが考えられるという。加えて、子どもたちの側も、クラスの同級生にもまずSNSで接触、そこで仲良くなった後にリアルのコミュニケーションを始めるといった行動様式が一般化した結果、先述のような“誘い出し”も容易になってしまうようだ。スマートニュース社の松浦シゲキ氏は「僕も会ったことのない社内の人とチャットツールで会話して、一緒にカラオケに行って盛り上がった」と明かす。
「LINEと共同で誘い出し予防の研究をしていて驚いたのは、高校生の4人に1人はネットがきっかけで仲良くなった友達がいるということだった。しかも半分は別の高校の生徒だということだった。“同じ学校にカッコいい男の子がいたら、その子のツイッターのアカウントをフォローする。何度かやり取りして、LINEも交換して、リアルで仲良くなっていく作戦だ”と言われたのも印象深い」(田代准教授)。
■倉持由香「責められるべきはゲームではない」
ゲーム好きで知られ、夫ともオンラインゲームがきっかけで結婚したタレントの倉持由香は「“オンラインゲームの闇”“ゲームが悪”みたいな感じで取り上げられてしまうのはすごく悲しい。ペンパルやmixi、ガラケーなど、時代に合わせてツールがあった。今はオンラインゲームが流行っていて、すごく楽しいからということだと思う。健全に交際し、結婚に至ったカップルたちもいる。だから責められるべきはゲームではなく、それを悪用して子どもたちを食い物にする悪い大人たちだ」と話す。
倉持の話を踏まえ、田代准教授は「安全性を高めるためには、システムとルールと教育の3つの要素が必要だ。シャットダウンやフィルタリング、ゾーニングによって、大人と未成年が簡単につながらない仕組みや、親が管理できる仕組みを入れるだけでもかなり違う。それから、親子で話し合い、プレイ時間を決めたり、リビングだけでやるといったルールを決めることも重要だ。そして、子どもたち、親たちのリテラシーを高める教育を行っていくことが求められる」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)
▶映像:ネット空間で未成年どう守る?
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