化石燃料から出たCO2を再び地中に戻すテクノロジー「CCS」…排出削減の可能性に光?
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 会期を延長するも来年から実施されるパリ協定の運用ルールの合意には至らないまま閉幕した「COP25」。脱石炭への具体案を示せなかったとして槍玉に挙げられ、温暖化に消極的な国に贈られる「化石賞」まで受賞してしまった日本の小泉環境大臣は、自嘲気味に 「冒頭は石炭祭りだった。日本に対する期待はもともと高い。もともと高いから批判される」と語った。

 温室効果ガスの排出削減は、本当に実現可能なのだろうか。現下の状況に危機感を抱くスウェーデンの若き環境活動家、グレタ・トゥーンベリさんなどが主張する、特に石炭を燃やす火力発電を止めるべきだという意見に対し、テクノロジーの可能性に目を向けるべきだと話すのが、慶應義塾大学ビジネス・スクール教授の太田康広氏だ。

 「気候変動、地球温暖化の影響は、今年の台風被害を見ても明らかで、体感できるレベルになってきている。CO2削減が喫緊の課題だということは国際的にもコンセンサスがあり、反対する人はほとんどいないと思う。問題は、それをどうやって達成していくかだが、いろいろな利害というかそれぞれの主張が絡み合ってなかなか進まないし、精神論に訴えるのも脆弱な解決策だと思う。根本的にはテクノロジーで解決すべきで、ハイブリッドや燃費の良い車を開発するといったことで進めていくのが現実的だ」。

 その一つとして太田氏が期待するのが「CCS」という技術だ。「二酸化炭素を分離して地面や海底に埋める技術がだいぶ進んできている。苫小牧で行われている実証実験では、30万トンを埋め、安定的に貯蔵することができている。これを応用して、化石燃料を燃やすと出てくるCO2を捕まえて地面に埋めるか、あるいは別の場所で安定的に保存できるテクノロジーが開発されれば、化石燃料を嫌う理由はなくなると思う。コスト面からすぐに実用化というのは難しいだろうが、近いうちにかなりの確率でできるのではないか。地面に埋めるやり方も様々な種類があるので、効率の良い方法がどんどん出てくると考えられる。一番良いのは海底だが、海洋利用はなかなか難しいので、先進国全体で話をまとめられたらいい」。

 慶應義塾大学の夏野剛・特別招聘教授は「もともと化石燃料がその役割を果たしていた。石油や石炭が吸収し、地表の奥底に溜め込んでいたCO2を我々が化石燃料として使うことで、再び大気中に解き放っていたということだ。それをもう一度、CO2として貯留しようという考え方。いわば戻すということだ」と補足。

 さらに太田氏は「先に成長してしまった先進国がCO2をいっぱいばらまいて、途上国の余地を狭めてしまった面もある。これからの日本をはじめとする先進国の役割は、テクノロジーで新興国が成長できる余地を作っていくことだと思う。その意味では、なぜCOP25でこうしたテクノロジーの魅力について発信がなかったのか」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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