映画「万引き家族」さながらの窃盗家族が追送検された。今年2月に家を追われ、車上生活をしながら窃盗を繰り返してきた一家4人は、ラーメン店のチャーシューを盗んだことで足がつき、御用となった。
舞台となったのは埼玉県本庄市。元埼玉県警刑事の佐々木成三氏は「店の商品を盗んでそれをお金にするまでが本来の目的。決して軽い罪じゃない」と話すと、窃盗被害に遭った釣り具専門店「ルアーショップ カーミット」を訪れた。代表の小池健一さんによると、被害に遭ったのは7月頃。犯行時間帯は閉店後で、主にブラックバス釣り用のルアー100点、総額約15万円相当の被害だったという。
窃盗家族は裏手の窓を割って無人の店舗内に侵入しており、佐々木氏によるとこれは「出店荒らし」という窃盗の常習手段。さらに現場から歩いて15分ほどの別の釣具店「オザークルアーショップ」も今年4月末に同様の被害に遭っている。田島義正代表によると被害額75万円のうちの大半はルアーではなく竿。侵入経路は店舗横にある勝手口で、過去に空き巣被害に遭った経験から南京錠3個を設置していたが、いずれも工具専門のカッターで切断されるなど、佐々木氏も驚くプロの手口が明らかになった。
田島さんはブラックバスが生息しない店舗近くの川でバスフィッシングに興じる家族を目撃している。さらにこの家族については、車で40分ほど離れたゴルフ場脇の池付近に車を停め、魚釣りやバーベキューを楽しむ様子も多数目撃されていた。そこで焼かれていた魚は、釣ったものではなく、スーパーで万引きされたもの。長女の証言によると、父と長男が窃盗の実行犯で、母と長女が見張り役だった。
■「職業が窃盗」という理解しがたい犯罪者心理
そんな窃盗家族が逮捕されたのは、犯人一家が潜伏先の一つとして利用していた街外れにあるラブホテル。同ホテルの受付担当者は「チェックアウト時、外に出るときの姿が人目を気にして逃げていくような感じだった」と証言している。さらに逮捕のきっかけは、ラーメン店のチャーシュー窃盗事件で、防犯カメラの映像から浮かび上がり特定されたのが、この窃盗家族だった。
改めて感想を求められた佐々木氏は「万引き家族というイメージがついているが、手口がかなり悪質で万引きどころではない。常習の侵入犯罪者の手口ということがわかった」と話した。調べによると、窃盗の際の実行犯は父と長男で、盗品を磨くのが母、さらに売却するのが娘という役割分担で犯行を繰り返していた。
この役割分担について佐々木氏は「この家族は高く売るためのルーティンを持っている。たくさん盗むために男二人が店に侵入し、高く売るために盗品を磨く。男が売りに行くと店が怪しむので、女性が売りに行く。このように成功のルーティンを繰り返している窃盗団だ」と断罪した。
国際政治学者の舛添要一氏が「なぜ仕事をしないんだろう? 仕事をやれば食っていけるのに」と話すと、2015年ミス・ユニバース日本代表で1児の母の宮本エリアナも「働きなさいよという感じ。全員成人しているのだから、4人でアルバイトでもなんでもすれば、窃盗しながらコソコソ生きていくよりはラクだ」と続いた。しかし佐々木氏は「この人たちの感覚は職業が泥棒なんです。何を盗めば高く売れるかを知っているので、働くのがバカらしくなる。泥棒が生活の一部なんです」と犯罪者の真理を説明した。
一連の議論を受けてモデルでタレントのジョナサン・シガーは、自身の幼少期の体験を踏まえ「自分は幼少期に親が宣教師として来日した。ボランティア活動なので本当にお金が無かったが、色々な人たちと交流をしながら、スーパーの賞味期限切れの商品を貰うなどしていた。そういうやり方があるにもかかわらず、まず窃盗という選択肢があることが間違い。理解できない」と話したが、一方では「(窃盗家族の)子どもたちも被害者だ」という意見も聞かれた。(AbemaTV/『Abema的ニュースショー』)
▶映像/窃盗家族の悲しい末路
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