FC町田ゼルビアをテーマにした初のサッカーリアリティーショー『FC町田ゼルビアを作ろう~ゼルつく~』(AbemaTV)で、番組の代表を務めるサポーター歴14年の谷原章介が、FC町田ゼルビアの藤田晋オーナーと対談を実施。他チームのサポーターも巻き込んで議論を巻き起こしたチーム名変更問題について、藤田オーナーが様々な裏話を明かした。
2018年10月にサイバーエージェントが、株式80%を取得してゼルビアの経営に参画。約11億円を出資し、そのうちの約10億円はJ1昇格に必要なクラブハウスの建設や芝のグラウンドの設置に使用するなど、ゼルビアを取り巻く環境は大きく変化した。
そんななか、今年10月に行われたサポーターミーティングで、藤田オーナーの口から突如として「町田を拠点に東京全域でマーケティングを展開する。(そのために)“東京”をチーム名に入れた」“FC町田トウキョウ”へのチーム名変更が明かされた。
ミーティングに参加したサポーターからは「クソダサい」など批判が集中。「人生をかけて応援しているんですよゼルビアを。僕らの声って届かないんですか?」と涙ながらに訴えるサポーターも現れた。
この『チーム名変更問題』は、ゼルビアサポーターだけにとどまらずTwitterのトレンド上位にランクインするほど大きな反響を呼んだ。藤田オーナー個人のSNSにも厳しいコメントが寄せられたという。
当時の映像を谷原代表と見ていた藤田オーナーは「胃が痛いですね。もう見たくないもん」と思わず本音がもれる。そんな藤田オーナーに、谷原は「そもそもいつ頃から名称変更を考えていたのか?」というストレートな質問をぶつける。
すると「株を取得するときに巨額の出資をしなければいけない。社内を説得するときに『町田という1つの街に、なぜマーケティング予算をつぎ込むんだ』と言われ『(町田ではなく)東京全域ですよ』という論理立てをして説得した。取得するときの契約書に書いてあって、それを前提に株を取得した」と、ゼルビアの経営に参画すると決めた時点ですでに名称を変更する考えがあったことが明かされた。
「サッカーは上から順にだいたいが強化費、人件費が高いところが強い」現実があり、ゼルビアを強くするための先行投資を経営陣に納得してもらうために“町田”ではなく“東京”のチームとしてゼルビアをリブランディングして、世間的にイメージをアップさせる必要があった。
そのために「すべてをガラッと変えよう。今までの延長ではなく、メジャーなチームにしていく足がかり」ということで、チーム名の変更は1つの施策だったのだが「(チーム名変更で)それ(投資)がやりやすい状況を作ろうとしたが、その最初でつまづいてしまった」。
しかし「つまづいてしまった」というのは、決してマイナスな意味ではない。
「人生かけている応援しているという(サポーターミーティングで涙ながらに訴えた)彼の言葉で僕も心が動いた」と言うように、今回の騒動を受けて「サッカーファンは熱くて、みんなが貢献したいと思っている。みんな同じように、チームのために何かしたいという気持ちで成り立っているのがサッカークラブ」と、新たな気づきがあった。そして「僕もそう(クラブに貢献したい)」と同じ目標に向かう「仲間」としての思いが強くなったようだ。
サポーターたちの思いを受けて「名前は変えられない」と、チーム名の変更の“凍結”を明言。さらにこの騒動をきっかけに藤田オーナーは「これまではクラブチームに対して心理的にも距離感があった。今回、前面に立って問題にあたったことでサポーターとも直接話せるようになったし、フロントとも密になった。(チーム名変更問題を経て)クラブチームに対して距離感が近くなった」と感じている。
実際に、藤田オーナーは数名のサポーターたちとお酒の場を設けるなどコミュニケーションをとっており「(来シーズンは)試合後の懇親会をやろう」と話ははずむ。「僕としてはうれしい。マニアックな趣味を持っている共通の仲間」と、藤田オーナーとサポーターたちの関係は雨降って地固まるのように、良好なものとなっているようだ。
(AbemaTV/「FC町田ゼルビアをつくろう~ゼルつく~」)