K-1スーパー・バンタム級チャンピオンの武居由樹が、ボクシング元世界王者の内山高志とのガチスパーに臨んだ。
初開催の女子トーナメントをはじめ好カードが並んでいる12.28K-1名古屋大会において“主役候補”の1人に挙げられるのが、K-1スーパー・バンタム級チャンピオンの武居由樹だ。軽量級ながら豪快なKOが持ち味の武居は、K-1のエースとして武尊を脅かす存在と言ってもいい。今年6月、両国国技館大会では3試合オールKOで世界トーナメントを制してみせた。
コンディションもよかったため11月の横浜アリーナ大会に出場したいという思いもあったようだが、この大会では同門の江川優生がフェザー級王座決定トーナメントにエントリーしていたため、バックアップに専念した。結果、江川は全試合1ラウンドKOで優勝して悲願のベルトを巻いている。
新生K-1初進出となる名古屋で武居が対戦するのは、ムエタイの強豪スリヤンレック・オーボートー・ガムピー。ムエタイの2大殿堂ラジャタムナンスタジアム、ルンピニースタジアムともにランキング入りしており、パンチを得意とする激闘型ファイターだ。
武居は昨年12月の大阪大会でもムエタイ戦士と対戦している。以前から「軽量級で強い相手と闘うならムエタイは避けて通れない」と考えており、いわば今回も“最強ロード”の一環だ。K-1とムエタイはルールが違うとはいえ、ゲーオ・ウィラサクレックのように対応できる選手もいる。加えて豊富なキャリア、試合運びの巧みさなどはルールの違いを超越する部分もある。
ムエタイとの闘いは“立ち技最強”を目指す格闘家にとっての使命のようなもの。K-1王者として、武居はその使命に忠実なのだ。武居が越えるべき目標、武尊も3月にムエタイのトップ選手ヨーキッサダーと闘い、KO勝利している。「武尊選手もムエタイ王者をKOしていますし、僕もスリヤンレックを倒してK-1が一番だと証明したいです」と武居は話す。
スリヤンレックについて「背は小さいですけどパワーがあるし、倒されてもすぐに立って向かってくるような気持ちの強さもある」と武居は評している。おそらく勝負は倒し合いの様相になるだろう。武居の狙いは、もちろんKOのみ。ただし、倒し方のイメージは「試合までに考えようかなと思います」。今の武居は“倒し方”を2パターン持っているのだ。
「倒すことは絶対で、今まではテクニックで倒すことが多かったんですけど、6月は気持ちで倒しにいく試合が多かったんですね。そのどちらでいくかは試合までに考えようかなと思います」
技術でも気持ちでも倒す術を身につけた今の武居。試合に向け、ボクシングの元世界王者・内山高志のもとで「ジャブが速いですね……僕の距離にさせてくれない。試合よりも緊張しました」というガチなスパーリングも経験。“ノックアウト・ダイナマイト”と呼ばれる内山のパンチを体感してKOへの意欲をさらに高めると、一方の内山も「速い。アッパー、いい角度からもらいましたね」と苦笑いを浮かべると「スピードもあるし、パンチの出所が分かりづらい」と武居の実力に太鼓判を押した。
ムエタイとの対戦に向け、ムエタイ系の選手と練習して対策を練るのではなく、ムエタイとは違う倒し方を構築しようとするあたりも武居流、K-1流と言っていいだろう。今年4戦全勝4KO。絶好調のチャンピオンは、年末の大勝負をどう締めくくるか。