これまでK-1、KRUSHの女子戦線を引っ張ってきたKANAが、12月28日のK-1名古屋大会(ドルフィンズアリーナ)でキャリア最大の大勝負を迎える。
以前からアピールしてきた、女子の世界トーナメントが開催されるのだ。初代女子フライ級王座をかけた4人制トーナメントには、KANAも「誰が勝つか分からないと思われているはず」というほどの強豪が集まった。1回戦ではISKA世界王者のクリスティーナ・モラレスと対戦。反対側のブロックでは、ヨセフィン・ノットソンとメロニー・ヘウヘスが闘う。どちらもKANAと1勝1敗の戦績を残している選手だ。まさに全員が優勝候補と言うしかない。
それほど実力伯仲、レベルの高い選手がいるからこそトーナメント開催にゴーサインが出たともいえるだろう。それは、ここまでKANAが厳しい闘いから逃げなかったという証明でもある。このメンバーで2連勝するのはかなり難しいが、大勝負に向けてKANAには強力な援軍がついた。K-1中量級のカリスマ・魔裟斗だ。KANAは魔裟斗のジム・シルバーウルフに所属している。
魔裟斗がKANAに伝えたのは、強豪外国人選手への対策だ。圧力が強く、力でねじ伏せることができない外国勢と闘いながら、魔裟斗は結果を残してきた。KANAも今、同じ課題を抱えている。
そこで魔裟斗が伝えたのが、相手の前進を止めるローキック。目線の違いだけで体重の乗り方が違ってくるという。さらに、相手の脚の内側を蹴るインローも伝授。軽く、スピーディーにコツコツと蹴る技だが「これを痛いと思わせることでパンチも当たるようになる」と魔裟斗。この闘い方を今のK-1で効果的に使っているのは武尊だという。
対外国人であっても“魅せる闘い”をしたいのがKANA。そのための貴重な方法論だった。何より「自分が優勝しなければ」という思いは強い。自分がチャンピオンになるだけでなく、そのことでK-1女子というカテゴリー自体を盛り上げ、確立させたいのだ。
「K-1が女子の夢の舞台になる。その夢を切り拓くためにも自分がベルトを獲りたい」
この姿勢は、かつて中量級を背負い、開拓した魔裟斗とも共通するものだと言っていいだろう。