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 12月29日、さいたまスーパーアリーナで開催された『ベラトール・ジャパン』では、後半戦でRIZINルールの提供試合が組まれた。日本人選手と外国人の強豪の試合が多かったが、最終試合は日本人同士の顔合わせ。矢地祐介と上迫博仁のライト級対決だ。

 上迫はRIZINライト級GPに参戦したものの1回戦敗退。一方、矢地は一昨年大晦日に五味隆則を下して脚光を浴びたが、昨年から今年にかけて3連敗を喫している。ともに再起をかけた試合、打撃戦をリードしたのは上迫だった。矢地をダウンさせて上から連打を浴びせる場面も。しかし、矢地はここで一気に崩れてしまわなかった。3ラウンド、フィニッシュを狙って前進してきた上迫にカウンターの右。倒れたところに、すかさずサッカーボールキックで蹴り上げた。大逆転のKO勝利だ。

 このフィニッシュについて「サッカーボールキックなんて練習でもやってないのに。よくあそこで出たなと。幼い頃に数年間だけやってたサッカーの成果が出ましたね」と語って取材を笑わせた矢地。この明るさが彼の魅力だ。

 矢地は女優・川口春奈との交際が報じられて話題になった。今回の試合も川口が客席で観戦。矢地の勝利に涙する場面が生中継で映し出されている。もちろん、各メディアもその様子を記事にした。世間的には、矢地は“川口春奈の恋人”なのだ。

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 だが今回の勝利は、話題性以上に矢地自身のキャリアを大きく左右するものだった。ここで負ければ4連敗。RIZINからの戦線離脱さえありうる状況になってしまう。そんな試合で、しかし矢地は自分らしさに気付くことになった。

「もし負けたら……っていう気持ちもありました。でも、たとえば負けてしまって、これで最後になったとして。後で振り返った時に“楽しめなかったな”と思いたくなかったんですよ。だから“楽しむ覚悟”でやりました」

 格闘技を楽しんでこそ矢地祐介。その気づき、もしくは開き直りが復活につながった。またこんなコメントも。

「失敗しないと分からないことがあるんですよね。前回の試合では無理やり怒りの感情を作り出したんですけど、それでは自分のパフォーマンスが出せなかった。今回は気持ちの面でも受けに回らないようにしました。気持ちで劣勢にならないこと、弱気にならないことをどんな時でも意識してました」

 試合に向けての出稽古で、外側から見た自分の長所に気付いた部分もあったそうだ。単なる連敗脱出ではなく、選手としてより深い部分で成長したのだ。2020年は、再びトップ戦線への挑戦が始まる。

文・橋本宗洋

写真・RIZIN FF

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