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(空手仕込みの打撃が持ち味。前哨戦で坂崎に鋭いハイキックを決めた)

 東京女子プロレス恒例のビッグマッチが、2020年も開催される。“イッテンヨン”こと1月4日の後楽園ホール大会だ。シングル王座プリンセス・オブ・プリンセスのベルトを争うのは坂崎ユカと山下実優DDT両国国技館大会で2度目の戴冠を果たした坂崎の初防衛戦に、旗揚げ時からのエース・山下が挑む。初代王者でもある山下は、勝てば3度目の王座獲得だ。

 前回は1年以上、王座を保持した山下。タイトルマッチ経験は豊富だが、挑戦者の立場は(シングルでは)2度目。「挑戦者であるというのは自分の中で新鮮ですね。チャンピオンの時は責任感が大きいですけど、挑戦者は何をやってもいいという感覚があります」。

 坂崎とは過去に何度も対戦。今年3月の博多大会では坂崎が山下のベルトに挑戦した。「今度はチャンピオンのユカちゃんを味わってみたい。3月は私が勝ちましたけど、内容的にはもっとできると思ったので今回が楽しみです」と山下は言う。

 初戴冠時には「責任感で自分を追い込んでしまった」が昨年1月、ベルト奪還を果たすと「自信がついて、楽しみながら闘うことができるようになりました」。ベルトを失ったのは今年5月。中島翔子に敗れたが「その時はその時で学ぶことがありましたね」と語る。

 “丸腰”の期間に経験できたことも大きい。その一つが、アントーニオ本多(DDT)とのタッグ結成だった。11月3日のDDT両国国技館大会では、この異色コンビでケニー・オメガ&里歩と対戦している。アントンは「徹夜で考えてきた昔話・ごんぎつね」をはじめコミカルな味とエモーショナルな闘いが同居するレスラー。アントンに導かれて、山下も“強さ”以外の要素を表現する楽しさを感じたそうだ。

「自分にこんな面があるのか、こういうこともできるのかって。それをお客さんが受け入れてくれたのも嬉しかったです。最初は“強い”以外の自分は受け入れてもらえないんじゃないか、アントーニオ本多さんの世界観を壊してしまわないかと怖かったんですけど。今はレスラーとして視野が広がった感じです。アントーニオ本多さんの隣というのは居心地がいいというか、凄く闘いやすかった。自由に泳がせてくれるし、うまくコントロールしてくれる場面もあって」

 今の自分がベルトを巻けば、以前よりも面白いことができると感じている。アントンと組むことで、試合中に心理戦を展開することも覚えたそうだ。

 山下は団体の一期生。2103年の旗揚げ戦でもメインを務めた。先輩がいない団体で試行錯誤しながら作ってきた“東京女子プロレスらしさ”を何よりも愛している。曰く「エースという以上に、東京女子を背負うという気持ちが強いです。それはユカちゃんや中島も一緒だと思います。アメリカのAEWで試合する姿を見たら“東京女子をそのまま持っていってるな”っていう感じがしましたね」。

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(イッテンヨン後楽園は2020年で5回目。山下はそのうち4回メインを務めている)

 柔道と空手を経験。空手では全国大会で入賞したこともある。中学卒業後は一転してアイドルを目指した。幼い頃は家族が好きだったモーニング娘。のファンで「『RIVER』の前くらいからAKB48が好きになりました。あっちゃん(前田敦子)推しで」。

 アイドルをはじめ芸能関係のオーディションをいくつも受け、周囲のレベルの高さに「応募したとはいえ“なんで私が呼ばれたんやろ”って思いました(苦笑)」。そんな時に紹介されたのがDDTの“大社長”高木三四郎。女子プロレスの新団体を作るという話を聞き、一期生として入門することになった。地元の福岡から上京したのは17歳の時だ。

「芸能人になりたかった時期もありますけど、やっぱり自分は“闘う人”なんだなっていう感覚がありますね。闘うのが好きだし、K-1とかいろんな格闘技の試合を見るのも好きですし」

 現在の女子プロレスの流れ、東京女子の雰囲気からすると“アイドルレスラー”を目指すという手もあったはずだが、そうはならなかった。

「自分のベースは空手で、武器は蹴り。それまでにやってきたことが自然に出ました。アイドルレスラーは……やっぱり無理があるんじゃないですか(笑)」

 最近はトップ戦線での試合だけでなく、新人相手の試合も印象に残る。

「自分が引き出してあげるとは言わないですけど、相手が限界を超えたところで力を出せるような試合できたらと思ってます。出せなかったらそれまでですけど。自分は先輩がいないので、里村(明衣子)さんと試合するまで“壁”になってくれる相手がいなかった。私も後輩の“壁”になれたらと。そのためにも、もっと力をつけたいです」

 東京女子プロレスは一期生3人でスタート。後輩を気にかけるようになるなんて想像していなかったと言う。だが自分が成長するにつれて団体も大きくなった。2020年はベルトを取り戻し、両国国技館大会単独開催に向けて「大会の中身をもっと濃くしていきたい」そうだ。

「両国に至るまでに、全国いろんな場所で試合がしたいです。お客さんの反応って、会場によって本当に違うんですよ。ノリのいいところもあるし、静かに見る人が多い場所もある。いろんな反応を味わうことで、私たちも成長できると思ってます」

 やはりその言葉は“エース”らしさを感じさせるものだ。

文・橋本宗洋

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