2020年1月より放送・配信開始となるアニメ『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』(以下、『マギレコ』)。原作となるアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』(以下、『まどか☆マギカ』)は、願いを叶えた代償として「魔法少女」となり、人知れず人類の敵と戦うことになった少女たちの希望と絶望を描いた物語で、劇中の衝撃的な展開が話題を呼び、2011年の放送当時から現在に至るまで根強い人気を誇っている。
ファン待望のアニメ化を迎えた本作に出演する環いろは役の麻倉もも、七海やちよ役の雨宮 天、由比鶴乃役の夏川椎菜にインタビューを実施。アニメ化に対する意気込みや、OPテーマとなっているTrySailの新曲「ごまかし」について話を聞いた。
――2017年8月にスマートフォンゲームがリリースされた『マギレコ』ですが、2020年1月からはいよいよアニメ放送がスタートします。アニメ化が決定した際はどんなお気持ちでしたか?
麻倉もも(以下、麻倉):『マギレコ』には本当に長く関わらせていただいているので、嬉しい気持ちもありつつ、『まどか☆マギカ』が多くの皆さんに愛されている作品であることも知っていたので、同時にそのプレッシャーも感じていました。
雨宮 天(以下、雨宮):私もプレッシャーはありましたね。『まどか☆マギカ』ファンの皆さんの熱量の高さも理解していたので、その期待を裏切ることはできないなと。
ゲームでは自分のイメージのままに「七海やちよ」というキャラクターを演じていたのですが、アニメでは他の役者さんとの掛け合いのなかでのお芝居になるので、ゲームの時とはテンポや温度感も変わってきて。
それによって、やちよのことをより立体的に感じられるワクワク感と、他のキャラクターと交わることで生まれるドキドキ感がありました。
夏川椎菜(以下、夏川):私は歴史の深い『まどか☆マギカ』という作品に役者として関われることに幸せを感じました。ゲームの台本がすごく分厚くて、キャラクターもたくさんいる作品なので、どのように第1部をアニメとしてまとめるのかも気になりましたね。
ゲームのシナリオもとても引き込まれる内容となっているので、アニメを見てくださった方々がこの機会にゲームもプレイしてくだされば嬉しいなと思います。
――2011年にTVアニメが放送された『まどか☆マギカ』ですが、作品を初めてご覧になった際にはどのような印象を持たれましたか?
麻倉:私は『マギレコ』に関わらせていただくことが決まってから『まどか☆マギカ』を見たんですけど、それ以前から視聴者の皆さんからどういう反響があったアニメなのかは知っていたんです。
私自身が怖い作品が苦手ということもあり、全話視聴していた夏川椎菜ちゃんにあらかじめ1話ずつ全部解説をしてもらって(笑)。
夏川:「ネタバレしていいよ」って言うから、本当に全部言って(笑)。
麻倉:「何話でこの人が大変なことになる」という(笑)。その心づもりをして見たので、リアルタイムで視聴した人よりも衝撃は和らいでいたのかもしれないんですけど、それでも見ていく間にキャラクターに感情移入していく部分もあったので、それに引きずられて現実に戻るのが大変な作品だなと思いました。
夏川:私はキュゥべえが暁美ほむらちゃんに撃たれて穴だらけになるシーンで「うわぁ!」って声をあげたんです。本当に怖くて。
昔からアニメのマスコットキャラクターのような存在がすごく好きだったので、『まどか☆マギカ』を見ている時も、最初は「キュゥべえは声もかわいいし、いいキャラクターだなぁ」と思っていたんです。
そこから急に不穏な空気になって、あのシーンを見てからキュゥべえが怖くなってしまって……。あんなに白くてモフモフなキャラクターを「恐ろしい」と思ったのは、『まどか☆マギカ』が初めてだったので、ちょっとトラウマになりました(笑)。
麻倉:普通に絵で見るとかわいいのに、今はもう「目が怖い」というか。
雨宮:「ちょっと嫌い」まであるよね(笑)。
夏川:魔法少女を演じている側からすると、なおさらね(笑)。
雨宮:私はほむらちゃんの真実が明かされた第10話のシーンで泣きました。「この子は何というものを背負って時間を繰り返しきたのだろう」と。あの真実が明かされたことで、OPテーマ「コネクト」の歌詞に込められていた想いが浮き彫りになって。「このことだったのか!」と、ゾワっときました。
――今作で皆さんがTrySailとして歌われているOPテーマ「ごまかし」も、『マギレコ』の世界観とリンクするような部分があります。
麻倉:歌の入り方もまるで湖にふわふわと浮かんでいるようなイメージから始まり、サビに向かうにつれて曲調的には盛り上がっていくんですけど、表現し難い沈んだ気持ちになるというか。
私も最初に聴いた時にはどういう曲なのかわからなかったんです。でも何回も聴いていくと、スッと自分の中に入ってきて、自然と口ずさんでしまうような不思議さがあって。その思わず引き込まれていく感覚に『マギレコ』との共通点を感じました。
雨宮:かわいらしい少女感がありつつも、『マギレコ』特有の不思議さや暗さが常にあるなと。
あとは、一度歌い出したら止まりどころがなく、そのまま流れに乗っていくしかないような曲になっているので、必死さや焦燥感を込めて歌っています。その常にギリギリのところにいるような感覚は作品ともリンクしているなと感じます。
夏川:使っている音もキラキラしていてかわいらしい雰囲気なのに、メロディーや歌詞の中に不安やドロドロしたものが垣間見えて。それでいてテンポの速い曲なので、情報量がすごく多いんですよ。
1曲聴くだけで息切れしてしまうくらいなのに、何回もリピートしてしまう。そのクセになるような中毒感は、私が『まどか☆マギカ』を見て感じていたものと似ているなと。気が滅入ってしまいそうになるのに、どんどんのめり込んでいってしまう。そこは作品と共通しているなと思います。
インタビュー・文:吉野庫之介