5日にシドニーで行われたテニス国別対抗戦・ATPカップ、ブルガリア対モルドバの試合。ブルガリアが早々と2連勝してチームの勝利を決めたゲームとなったが、第3試合のダブルスで注目を集めたのは、選手ではなくモルドバの「監督」だった。
「監督がエルトン・ジョン」
きっかけは、試合の模様を中継したAbemaTVで投稿された視聴者コメントだ。
アップで映ったモルドバ監督を見てのコメントだが、これが確かに似ている。世界的シンガーソングライターのそっくりさんという盲点を突いたコメントに、笑いのツボが刺激された視聴者が続出した。これには実況を務めた西野恭之介氏も「今までハナ肇さんに似てると思ってたんですけどね、これはエルトン・ジョンで間違いないです」とコメントに同調。笑いすぎて実況ができなくなってしまった。さらに次のポイントが終わり、再びモルドバ監督が映像に映ると「エルトンが拍手をしています」と実況。コメントでも「確かに似てる」「そっくりどころじゃないｗ」と笑いの渦が止まらなくなった。
初戦のベルギー戦ではサングラスをしていなかったため、陽気なおじさんとしか思われていなかった監督。しかしサングラスをかけたことで、日本の視聴者に思わぬ形で見い出され、話題の中心になってしまった。
そんなモルドバ監督の正体は、モルドバのエースであるラドゥ・アルボットのお父さん。ダブルスの試合に出場する息子の勝利を願っていたパパだったのだ。ブルガリアのチームとしての勝利が決まっていたこともあり、視聴者の中でもモルドバの応援が優勢に。テロップで「エルトン・ジョン似監督 初勝利なるか」と書かれると、視聴者は熱戦に釘付けとなった。試合は見事モルドバがストレート勝ちを収めて、監督も立ち上がって左手で渾身のガッツポーズを決めた。
これでモルドバは単複合わせて6試合目での嬉しい初勝利。初めての登場となった勝利者インタビューでは、監督が英語だけでなく母国語でも軽快に話し、モルドバから遠路はるばる駆け付けたファンの声援に応えた。インタビューで息子と並ぶと「似てる」「勝ててよかったね」と温かいコメントも並んでいた。
文／今田望未（テニスライター）
