イランが報復攻撃も「戦争は求めていない」 不確定要素は“トランプ大統領”か
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 イランの革命防衛隊は日本時間の8日朝、アメリカ軍が駐留するイラク国内のアルアサド空軍基地に向けて弾道ミサイルを発射した。ミサイルは少なくとも十数発が発射され、イラク北部のアルビルにも打ち込まれた。

 この攻撃は、アメリカ軍が革命防衛隊のソレイマニ司令官を殺害した攻撃への報復で、イラン国営放送は「殉教者ソレイマニ作戦」と命名した。イランのタスニム通信は「イランの国産短距離弾道ミサイルで多くの戦闘機を破壊した」と報じ、米FOXニュースは「アメリカ側に死傷者はいない」と伝えている。

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 共同通信によると、米国防総省のホフマン報道官が「攻撃の被害については精査中」とした上で、声明を発表。「地域に駐留するアメリカ人や同盟、友好国を守るためあらゆる必要な措置を取る」としている。

 今回の攻撃は、対外工作や情報活動を担当する傘下の「コッズ部隊」などではなく、革命防衛隊によるもの。その意味について国際ジャーナリストの高橋浩祐氏は「イラン国内で非常に愛されていた軍事指導者を殺されたということで、コッズ部隊どころではなく国がかりでやろうということではないか。国葬には100万人以上が集まり死者も出ていて、これだけ熱狂して追悼した国民の感情をイランの指導部も無視できない」との見方を示す。

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 トランプ大統領はTwitterで日本時間の8日夜に何らかの声明を発表するとツイートしているが、アメリカは次にどのような対応に出るのか。テレビ朝日ワシントン支局の布施哲記者は「米国防総省が発表した声明などは非常に抑制的な表現になっていて、今回の攻撃に対しても事前に察知をし、いろいろな防御的手段を取っていたというくだりがあった。実際にイラク国内では事前に地対空ミサイルを事前に展開していて、攻撃の兆候を掴んでいた節もある。予防的に先制攻撃をする手段もある中で、あくまでも防御的な姿勢に徹していたと理解すると、アメリカが抑制的な対応を取ろうとしていることは事実だと思う」としつつ、「ただ、トランプ大統領自身がどのような行動に出るかは不確定要素として残っている」と懸念を示した。

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 一方、イランのザリフ外相もTwitterで声明を出し、「我々は事態のエスカレートや戦争を求めてはいない。ただ侵略から自分たちを守るつもりだ」と抑制的な表現を使っている。高橋氏は「アメリカはソレイマニ司令官殺害後に『対立をエスカレーションさせないため』、イランも攻撃した後に『戦争を求めていない』と言っている。必ず抑制的なトーンで返していて、お互い全面戦争をやりたくないということがうかがえる」と指摘した。

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 では、アメリカとイランの関係は今後どうなるのか。日本への影響はあるのだろうか。高橋氏はポイントとしてトランプ大統領の動向をあげ、「国内の苦境を踏まえて、今回の攻撃にどう対応するのか」だとし、『ニューズウィーク日本版』の長岡義博編集長は「日本人にとって中東はかなり遠い地域だが、イランは同盟国にも容赦しないと言っている。日本も中東に護衛艦を派遣する予定なので無縁ではない。アメリカとイランどちらが悪いかというのは難しい問題で、日本とイラン、日本とアメリカそれぞれの関係も違い複雑。この問題は今年の米大統領選に収斂していく」と述べた。

(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)

動画:ミサイル着弾の瞬間とされる映像

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