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 令和初となった「成人の日」。全国でおよそ122万人が大人の仲間入りをした。今年も各自治体が開催した趣向を凝らしたイベントの様子や逮捕者が出たことなどが報じられた。

 一方、日本財団の調べによると「同級生に会いたくないから」「成人を祝うことに意味を感じないから」「家族や友人とお祝いすれば十分だから」「着物や振袖など出費がかさむから、お金がないから」といった理由から、「成人式に行きたくない」と答えた18歳は実に3割に上っている。

 さらに3年後には、成人式そのものに大きな問題が生じる見通しだ。2022年4月に民法の成人年齢が18歳に引き下げられることから、2023年の成人式は18歳~20歳までが一斉に成人式を迎える可能性があるのだ。法務省の調べでは「引き下げ後の成人式の対象年齢を決めている自治体」は全国で6.5%にとどまっている。前出の調査では「成人式を行うのにふさわしい年齢」として最も多かったのが「20歳(74.0%)で、高校3年生の18歳にとっては受験や就職を控え、時間的・金銭的にも厳しい時期でもあることから、地域や個人によって対応がバラバラになりそうだ。

 すでに「成人式に行きたくない」と答える若者が一定数存在する中、旧友との再会の楽しみも薄れてしまえば、さらなる“成人式離れ”も予想される。

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 そもそも日本の成人式は男子の「元服」、女子の「裳着(もぎ)」などがルーツにあるとみられ、1946年11月に埼玉県蕨市で開催された「青年祭」が現代の成人式の“発祥”とも言われている。また、すでに成人年齢が18歳となっている国にはアメリカ(45州)、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、カナダ、ロシア、中国などがあり、1960から1970年代の学生運動の高まりや徴兵などとのバランスを取り、発言権(選挙権)を拡大させる意味から引き下げられてきた歴史もある。

 まず、成人式をめぐる報道について、カンニング竹山は「北九州の成人式ばかり取り扱うような報道はおかしい」、幻冬舎の編集者・箕輪厚介氏は「地元のヤンキーにプレッシャーをかけることにつながっていると思う。先輩が荒らしてきたのに、俺が荒らさなければガッカリされてしまうのではないかと。だから変に煽らない方がいい」と苦言。

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 また、2年前に渋谷区の成人式に出席したというジャーナリストの堀潤氏は「ステレオタイプな、見せたい映像を見せているだけだ」とした上で、「確かに渋谷ということでギャル、ギャル男はいっぱいいた。そして、実は4割くらいが海外ルーツだった。新成人たちに“生まれた時から全員が持っているものは何か”と尋ねると、区長も答えられなかったのに、目の前の金髪の男の子が手を挙げて“人権”と言った。“おお!”と会場が一つになった。大人の方が勝手に“若者はこうなんだろう”というのを押し付けて、ちゃんと話をしていないという側面があると思う。災害時のボランティア参加率などを見ても、阪神淡路大震災の頃と東日本大震災の後を比べると3倍以上になっている。社会起業家として、海外NGOの人道支援の現場スタッフとして、若い世代は頑張っている。そういう意味では18歳で成年というのも十分ではないか」と話す。

 その上で「地域によっては、中学2年生で将来の自分の決意と保護者へのメッセージを読み上げる立志式を実施している。成人式もコンセプトを明確にしてメッセージを託すなど、再定義が必要かもしれないし、変な形で大学入試改革するよりも、18歳になるまでに大人の役割が何なのか、人として皆が幸せになるためにはどういうスキルが必要なのかということをしっかりと教えてあげることが大事ではないか。また、都内23区では7、8人に1人は海外ルーツもしくは外国からやってきた人だ。障害の有無や、セクシュアリティも含めて、みんながコミュニティの中でどうすれば溶け合って暮らせるのかということを確認する場にしたり、日本とは何なのかということを一緒になって考えられる場にしたりするなど、日本人のためだけではない成人式をやっていかなければいけない」と訴えた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

動画:議論の模様(期間限定)

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