(ステージからクロスボディを決める赤井。場外戦でも一歩も引かず)
昨年からスタートした赤井沙希の「おきばりやす七番勝負」、その第3戦が1月12日のDDT大阪大会で行なわれた。
1戦目は藤本つかさと激しい攻防を展開し敗戦。2戦目は旧姓・広田さくらのコミカルな“ワールド”にどっぷり浸かりつつ勝利を収めた。
今回、対戦したのはフリーの山下りな。パワフルなファイトが持ち味の大型レスラーで、男子選手とデスマッチで対戦することもある。藤本戦とはまた違った激しさのある試合が予想された。また赤井と山下は育った団体が違うものの同期であり、その意味でも大事な一戦だった。
試合が始まると、山下はさっそく場外戦に持ち込む。自分のフィールドでの闘いだ。しかしここで赤井も踏ん張り、ステージ上で得意のPKをヒット。さらにステージからダイビング・クロスボディを放っていく。相手の土俵で自分の得意技を出していったのだ。
リング内では山下のパワーとタフさに苦しみながらの展開。三角絞め、アームロックは決まらずハイキックにはお返しのラリアット。「交通事故にあったみたい」な衝撃だったという。フィニッシュは山下のスプラッシュマウンテン。17分34秒の熱戦だった。試合後、勝った山下がマイクを握る。
(フィニッシュは山下の豪快なスプラッシュマウンテン。同期の2人がすべてをぶつけ合った)
「同期の中で(赤井は)異質な感じ。でも時間が経つにつれてヤバいやつだと思うようになって。そう気づいた時にシングルマッチを組んでもらいました。七番勝負、最後まで駆け抜けてください。そしたら七番勝負の意味が絶対分かると思う」
インタビュースペースでは「私との試合が“楽しかった”というなら、シングルはそれまで。七番勝負もそれで終わり。七番勝負を乗り越えて(今までと)違う赤井沙希が見えてほしい」とエールを送った。
敗れた赤井は涙。山下のマイクが「あんな風に思っててくれて。突き刺さりました」と言う。「りなちゃんとしかできない試合ができました」とも。場外戦含め激しくやり合ったからこそ、同期としての結びつきもより強く感じられたのだろう。デビュー7年目、ステップアップを狙う七番勝負の中でも、赤井にとってこの試合はとりわけ忘れがたいものになった。
写真/DDTプロレスリング