昨年6月、大阪府堺市教育委員会宛に、一人の男性教諭を告発する匿名封筒が届いた。これを受けて堺市教育委員会は事実関係を調査。名指しされた男性教諭は「廃棄するのがもったいないと思った」と事実関係を認め、減給3カ月の懲戒処分が下された。その後、男性が自ら依願退職をする形でこの一件は幕を閉じたが、「重い」「ちゃんと確認をとっていれば」「持ち帰るというのも自己責任の範囲内で選択肢の一つ」「食品ロスに対するルール化があれば」など街の反応はさまざまだ。
なぜ、このような重い処分が下ったのか。じつは堺市では1996年に学校給食が原因による集団食中毒を発生させており、児童3人が死亡する事態に至っている。この問題を受け文科省では給食の持ち帰りを禁止していた。
元衆議院議員の金子恵美氏は「昔から学校給食の食品残渣は問題になっている。この方の問題意識は正しいと思うが、文科省の方針や学校の規則もある。また給食は公費でやっているので、無断で持って帰ってしまったのが問題。これを機に食品ロスのルール化について問題提起をしても良かった」などと私見を述べた。
一方、ジャーナリストの山路徹氏は「まとめると30万くらいの金額になるようだが、毎回一個ずつを“もったいない”と思って持って帰ったにすぎない。この先生も辞めるのではなく、ルール作りに向かって行けばよかった。それが残念だ」と話した。
■フードロス解消のカギは「再販か、製造量の適正化か」
フードロス問題については、様々な取組も行われている。東京駅構内にある飲食では、営業後に売れ残ったパンを袋詰めにして別の場所で販売している。この“レスキューデリ”と呼ばれる取り組みを行っている株式会社コークッキングの篠田沙織COOは「余ってしまった食品を駅の従業員の方にお得に販売している」とフードロス削減の試みを説明する。現在は実用化に向けて実証実験の最中にあるというが、通常6個で1500円のパンが500円で販売されるレスキューデリは、販売者や消費者にとってはもちろん、何よりフードロス削減に効果が期待できる。
この取り組みに賛同するブルディガラエクスプレスの森藤真美店長は「私たちがいつも捨てているものを捨てなくていい。まだ食べられるので、誰かが買って食べてくれるというのが最大のメリットだ」と語った。
レスキューデリについて視聴者からは「これは普通にいい」「コンビニもタイムサービスをすればいい」と好意的な声が上がった一方、「そもそも作る量を減らせばいい」という根本的な問題解決を望む声も聞かれた。(AbemaTV/『Abema的ニュースショー』より)
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