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(TTT旗揚げ戦のメインを任されたTORU)

 1月25日、新たなプロレス団体が新木場1st RINGで旗揚げする。その名も「インディー統一連合TTT(トリプルT)」。かつてガッツワールドを率いたガッツ石島が中心になって創設された団体で、スローガンは“インディー統一”。インディ-ならではの自由さとともに内容で勝負する団体にしたいという。また「選手ファースト」も掲げ「選手がプロレスに専念できる環境を作っていきたい。そうすることでいい選手も集まってくる」と石島。

 この団体でエースとして期待されているのがTORUだ。2008年にデビューした28歳。大阪インディーシーンで活躍し、同時にガッツワールドにも定期参戦。昨年春にフリーとなって上京していた。本人は「これからもフリーとして東京のいろんな団体を体感していくつもりでした」と言うが、石島に入団を要請され、これを受けた。「ガッツワールド時代にも誘われたことがあって、これが2回目。必要とされることに喜びを感じました」とTORUは言う。

 1.25旗揚げ戦では、同じく新入団の佐山駿介とシングルマッチを行なう。FREEDOMSなどでも存在感を残してきた新鋭との対戦はフレッシュであり、好勝負への期待感は充分。レスラー人生の新たな一歩を踏み出すTORUに、大阪で培われたキャリアについて聞いた。

――TORU選手は昨年3月まで大阪で活動。沖縄にいた時期もありました。やはり東京から見えるプロレス界の景色とは違うものがありましたか?

TORU 違うと思いますね。大阪では、大阪プロレスという“大阪のメジャー”が築いた時代があって。いま大阪で中心になっているのも、そこに出ていた選手たち。僕は大阪プロレスも大好きだったんですけど、選手としてはそれに抗ってきましたね。

――「大阪のプロレスは大阪プロレスだけじゃない」と。

TORU 若い力で、大阪のプロレス界のイメージを変えていきたかったんですよ。でも難しかったというか、正直、限界は感じてましたね、東京に出る時点で。

――東京、全国区で顔と名前を売っていく必要もあるでしょうし。

TORU それは思いますね。そこから、ゆくゆくは大阪のプロレス業界のためになることもしたい、貢献したいという気持がもあります。やっぱり大阪で育って大阪のプロレスを見てきたので。といっても、今はTTTに集中してますけど。

――そういうルーツが個性にもつながると思います。

TORU ちょっと前まではコンプレックスでもあったんですけどね。僕は練習生の経験がないんですよ。もともとレスリングをやっていて、格闘技を習っていたところで学生プロレス出身の人と知り合って。その人が草プロレス、社会人プロレスの団体を作るからというので誘われて。

――でもそこがプロとしてのスタートだったんですね。

TORU 僕もプロレス大好きで、いずれプロレスラーになりたいと思って練習してたんですけど。軽い気持ちで出てみたら本物のプロがたくさんいたという(苦笑)。そこからいろいろオファーをもらうようになって。だからデビュー戦らしいデビュー戦というわけでもなく。

――「ついにデビューできた!」という感じではなかったと。

TORU それからは超ローカルどインディー団体でも試合してきましたから。本当に誰も知らないような団体ですよ。今となっては「人がしてない経験ができたな」と思うんですけどね。

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(華麗さと重量感を併せ持つスタイルが持ち味)

――ガッツ石島選手は、TORU選手に惚れ込んだ理由を「ヘビー級の試合もジュニアの試合もできるオールラウンダー」だからと話していました。そこはインディーらしさでもあるのかなと思います。

TORU ガッツさんにそう言ってもらえるのも、いろんな経験してきたからでしょうね。最近になってようやく「やってきたことが間違いじゃなかった」という自信が出てきました。

――インディーならではの魅力があるとしたら、TORU選手はどこにそれを感じますか?

TORU そこまで意識したことはないんですけど、僕はもともとプロレス大好き少年で、そこから本当にプロレスラーになれちゃった人間なんですよ。そうであるからには、すべてやりたいって思ってますね。ストロングスタイルもルチャも、お笑いもデスマッチもハードコアも。それに格闘スタイルだったり女子との試合だったり。プロレスの範疇に入るものは全部やりたいです。それができるのはインディーかなと。

――大阪時代「これは普通の選手は経験してないだろう」というようなエピソードは?

TORU なんですかね……いや、いっぱいありすぎて(笑)。たとえば会社の忘年会に呼ばれて、白鳥のパンツはいた素人の社長さんとシングルマッチしたことがありますね。

――余興というか営業というか。

TORU あとはスナックで歌いながらマットで試合したり。そういう経験は山ほどしてます。やりすぎて覚えてないくらいで(笑)。

――そういうシチュエーションを成立させるのもプロの腕でしょうね。

TORU そうなんですよ。変わった経験でしたけど、すべて勉強になってますね。無駄だったことは一つもない。全部自分の身になってます。

――そういう面でも、一味違うエースになりそうです。

TORU エースっていうのは自分ではそこまで考えてなかったですけど、でもそう呼んでもらえるからにはやらないといけないですね。いろんな団体のエースを比べた時に「なんだ、TTTのエースはTORUか」とは言われたくないので。旗揚げ後もこれまで通り、いろんな団体で試合をしていくことになるんですけど、そこで得たものは全部、TTTに持って帰って注ぎ込むつもりです。

聞き手/橋本宗洋

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