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(チームワークで横山を退治、勝ち誇るロバマン)

 人気ラジオパーソナリティの吉田照美が、68歳にしてプロレスのエキシビションマッチで“リングデビュー”を果たした。

その舞台は1月19日に新木場1st RINGで開催された『野良犬祭(ノライヌフェス)』。キックボクシングで一時代を築いた小林さとし(聡)がプロデュースするイベントで、毎回キックボクシングだけでなく様々なルールの試合が行なわれている。

 その中には“バカ映画の巨匠”と呼ばれる映画監督・河崎実監督(代表作に『いかレスラー』など)が手掛けるエキシビションマッチも。大会開催と河崎監督・照美主演の映画『ロバマン』公開時期が重なったこともあり、ロバマンとしてのリング登場が実現したのだった。

 映画『ロバマン』は河崎監督の十八番であるコメディ・ヒーローもの。宇宙人のパワーを授かった68歳の前期高齢者ハガキ職人が世にはびこる悪を(路上喫煙からモリカケ問題まで)怒りの拳で制裁していく。共演は笑福亭鶴光、唐橋ユミ、なべやかんに伊東四朗、みうらじゅんなどなどラジオ好きにはたまらないメンバー。

 今回のエキシビションマッチも、ZERO1のリングで暴れるヒール・TARUという「悪いヤツ」の存在をロバの耳で聞きつけたロバマンが成敗しにやってきたという形。ロバマンは同じ河崎監督のキャラである電エースと組み、TARU&横山佳和と対戦。“プロレスデビュー”と表現されることも多かったロバマンだが、特にプロレスの練習をしたわけではなく、エキシビションのため正確には“リングデビュー”。試合も映画の闇鍋っぷりそのままの展開となった。

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(テーピングで首を絞められピンチ。68歳にはあまりにも過酷だ)

 やる気MANMANで入場したロバマンだったが、コスチュームのヘルメットを装着する前に奇襲され、あっという間に3カウントを取られてしまう。自らマイクアピールしての再試合でも攻め込まれピンチの連続。小林直伝のアリキックで反撃する場面もあったが、やはり闘いは甘くない。プロレスという“ふッかいあな”に突き落とされたのだった。吉田照美のキャリアにおいて、新人アナ時代に横綱・北の湖を怒らせて以来の窮地だ。

 しかし混戦状態でレフェリーが失神すると、ZERO1・日高郁人が代打で試合を裁くことに。さらにプロデューサー・小林も“お助けマン”的に加勢。敵チームの誤爆を誘うとロバマンの必殺技クロスパンチから電エースの450°スプラッシュで勝負を決めた。

 試合後はセコンドの河崎監督もリングに上がって映画をPR。企画の性質上“ソコダイジナトコ”であった。リング上ではひたすら緊張の面持ちだった照美も、バックステージに戻ってようやくホッとしたのか「気持ち的には縮み上がってました。恐ろしい人たちでしたよ。あんなに凄いとは思わなかった。お客さんの声援があってよかったですよ」とコメント。リングを実体験することで“また一つお利口になった”というところか。

 キックボクシングの伝説とバカ映画の巨匠とラジオスターのコラボレーションは、グダグダ感も含めて期待通り。ケガなく試合を終えた数日後、照美は無事に69歳の誕生日を迎えたのだった。

文/橋本宗洋

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