ソフトバンクやKDDI(au)など通信業界の約30社が27日、NTTグループの“共同調達”を認める総務省の方針に反対する意見書を提出した。
旧電電公社時代には通信市場を独占していたNTTは、関連機器の調達先に対する巨大な購買力を持っていたが、1985年に民営化、共同調達も禁止されていた。しかし総務省の有識者会議が去年12月、NTTグループの調達額の割合がかつての8割程度から2割程度に減少しているとして、NTT持ち株会社、NTT東日本、NTT西日本によるルーターなどの通信機器の共同調達について、公正競争を阻害しない範囲において例外的に認めるという方針を示した。
この共同調達により、利用者への利益還元が期待されているが、意見書を提出した30社はNTTグループの“巨大化”を懸念、公正競争の確保のために必要な議論の実施、審査・認可基準などの運用ガイドラインの策定を求めている。
しかし同日のAbemaTV『AbemaPrime』に出演したNTTドコモの元執行役員で、慶應義塾大学の夏野剛・特別招聘教授「NTTはもはや巨大ではない。15年くらい前なら凄いニュースだったが、もはや大した話ではない」と断言する。
「インターネットも携帯電話もなく固定電話だった時代は、電話にしか使わない交換器という機械を使っていて、しかも日本は独自の通信規格だったため、必然的に最大の顧客がNTTになり、市場独占も働きやすい構造になっていた。それで民営化の際には独占はいけないということになった。90年代に入るとモバイルが中心になったが、1997年ごろまでは最大のキャリアはドコモではなかった。それが2000年ごろになると新しいサービスをどんどん入れて強くなってきた。そこに大きな流れとして、日本方式の通信規格とヨーロッパ方式を統合する“3G”が入ってきたために、富士通やNECや沖電気といった日本の会社だけでなく、エリクソンもファーウェイもノキアといった海外の企業も基地局に機器を供給できるようになった。さらにスマホの時代になると、端末も世界中で共通になったし、4Gの今、日本のメーカーは存在感がない。ルーターに関しても、シスコシステムズの大きいお客さんはGoogleやAmazonの方であって、NTTは大したことがない」。
さらに「NTTグループの時価総額を計算すると、大体18兆円くらいになる。これに対してソフトバンクが約9.6兆円、KDDIが約7.7兆円なので、差があるように見えるが、自動車業界で言えばトヨタが約25兆円に対して、ホンダが約5.3兆円、日産が約2.5兆円という差が付いている。ついこの間までソフトバンクはスプリントと合わせるとNTTドコモよりも大きかったし、そう考えると、今さらNTT巨大化などと言っている場合ではない。通信業界30社といっても、KDDIとソフトバンク以外は小さな会社が並んでいるだけだし、“言ってみた”というだけで、本気でソフトバンクが物言いを付けるのであれば、孫さん自らが出てくるはずだ」と指摘していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)
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