「新歓イベントで、毎年のように、本学の女子新入生が性別を理由に入会を断られる事例が報告されている」「純然たる差別行為であり、新入生に不快な思いを与えている」「新入生に対して選択肢が開かれた自由な団体選びを提供することを目指すオリエンテーション委員会として看過できない」。
東京大学のサークルの新入生歓迎会などを取りまとめている学生団体「東大教養学部オリエンテーション委員会」は26日、上記のような現状を指摘した上で、「2020年度オリエンテーション諸活動において、上記のような差別活動を認めないことにした」「この規則に同意した団体のみがオリエンテーション諸活動に参加できる」とする規則の追加を発表した。
この問題については2年前、『東大新聞』が学内を調査、東大在学中の女子学生だけが入会を断られるサークルが少なくとも3つ存在していると報じている。取材に対しサークル側は「伝統としか答えられない。インカレとはそういうものだろう」「他の大学の女子が大勢いる中、東大女子が少数いても馴染めなさそう」と説明している。また、上野千鶴子名誉教授は去年4月の入学式祝辞で「今でも東大女子が実質的に入れず、他大学の女子のみに参加を認める男子サークルがあると聞いた。私が学生だった半世紀前にも同じようなサークルがあった。それが半世紀後の今日も続いているとは驚きだ」と指摘している。
さらにAbemaTV『AbemaPrime』の取材に対し、卒業生の女性(2011年入学)は「入学前に東大女子が入れるテニサーはほとんどないと先輩に言われた。当時、東大女子の入部を認めないと宣言していたテニサーは3つあったが、それ意外にも事実上、他大の女子のみの入部を認めているテニサーも多数あった。真面目にテニスをやりたいと考えている子は大変だったと思う。もちろん大半は東大女子でも入ることができるが、そもそも母数が少ないため、女子が他大生で占められているようなサークルには入っていきづらい。結果的に、他大女子はいるけれど、東大女子はゼロというのが伝統になってしまっているサークルもあるのではないか」と話している。
実際、各大学の女子学生の比率(2019年度、学部学生)を見てみると、東京大学18.7%、京都大学22.4%、東京工業大学12.2%、東京外国語大学65.4%、慶應大学37.0%、早稲田大学37.8%となっており、東大における女子の比率は2割にも満たない。
東大OGで 忍者を名乗って活動している鈴木柚里絵(2010年入学、現在は修士課程在籍)は 「私もずっと許せないと思っていたので、こういう動きが出てきたのを見て、“やっとか”という気持ちだ。50くらいあるテニスサークルのうち、東大女子が入れるのは3つしかないと言われていた。その状況自体、気持ち悪いと思わないのだろうか。私は男子サッカー部や男子テニス部があるのもいいと思っているし、インカレサークルもあっていいと思っている。ただ、男女混合なのに東大女子を禁止にするのはダメ。歪んだ差別だと捉えている。“他大女子と喧嘩になるから”みたいなことを言うが、それは大学とは関係なく、個人間の問題で、合理的な理由ではない。ダイバーシティーや性差別をしないということが言われている時代なのに、それと逆行している気がする」と強い調子で訴える。
これに対し、Black Diamondのメインボーカルでリーダーのあおちゃんぺは「東大のサークルなのだから、“喧嘩するから他大はやめよう”なら分かる。他校の人がOKで自分の大学を禁止するのは意味が分からない。ただ、そこで女子OKになったとしても、入った人は悲しい思いをするかもしれない。他の大学のサークルに行けばいいと思うし、“私入れない”ではなくて、“うちらしか入れないの作るぞ”でもいいのではないか」と尋ねると、鈴木は「そういう意見もあるかもしれないが、それで問題は解決せず、むしろ複雑化すると思う」と懸念を示した。
同じく東大出身のリディラバ代表の安部敏樹氏(2007年入学、現在は博士課程在籍)は「有志団体とはいえ、オリエンテーションは実質的に公式イベントのようなもの。そこに差別的な行為をしているサークルがいるのはおかしいよねというのは正当な主張だと思う。ただ40~50代の卒業生に聞いてみると、当時は女性比率が10%もなく、サークルが出会いの場所だという側面があった。実際、インカレサークルで出会って結婚するパターンも少なくないらしい。そういう機能もあったのだと思う。やはり背景には女性の入学率の低さがあると思うし、それは“勉強でき過ぎるとモテない”みたいなことを大人が言うからだ。私は文系で入学して、理系の方で勉強していたが、本当に女性がいなかった」と話した。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)
▶映像:小籔vs東大女子“サークル拒否“差別?
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