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(ディーノの厳しい攻めに耐えていつどこ権を掴んだ青木)

 路上プロレスやアイアンマンヘビーメタル級王座と並ぶDDT名物「いつでもどこでも挑戦権」をめぐる闘いがスタートした。

 これはネーミング通り、権利保持者がいつでもどこでもKO-D無差別級タイトルに挑戦できるというもの。たとえば防衛戦直後、疲労困憊の王者にその場で挑戦することも可能で、保持者(挑戦者)が圧倒的に有利となる。ただし、いつどこ権保持者が権利行使前に敗れた場合、相手に権利が移動するのがルールだ。

 これまでも数々のドラマを生んできたいつどこ権をかけた試合は、まず1月26日の後楽園ホール大会、続いて2月1日の板橋大会で実施。2.1板橋で権利を獲得した飯野雄貴が翌日の茨城大会でコーディ・ホールに敗れ、さっそく権利が移動している。

 このコーディの新パートナーに名乗りをあげていたのが男色ディーノ。名レスラー、スコット・ホールの息子であるコーディに目を付けたディーノは自ら“コーモン・ホール”を名乗る。巨体とパワーを誇るコーディをディーノ、いやコーモンの頭脳がバックアップするわけで、これはかなり強力と言わざるを得ない。

 今年は「いつでもどこでも挑戦剣」が新設されてもいる。この剣は6月7日、さいたまスーパーアリーナでのビッグマッチで王座に挑戦できる証だ。1.26後楽園で剣を手中にしたのはヤス・ウラノだったが、いつどこ権を持つ佐々木大輔がその場で権利を行使して「剣」を獲得。佐々木はDDTでもトップクラスの実力者だけに、このままさいたまスーパーアリーナのメインに進出する可能性は充分。試合後のインタビュースペースでは剣で取材を威嚇したりと、相変わらずの要注意人物ぶりを発揮してもいる。

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(佐々木はいつどこ“剣”でさいたまでの挑戦を目論む)

 ディーノ、佐々木が絡むことで不穏かつ混沌、危険な要素が増した王座戦線。現在の王者・田中将斗(ZERO1)にとっては気が抜けない日々が続きそうだ。

 いつどこ権は彰人、吉村直巳も獲得しており、彼らの王座挑戦も楽しみ。さらに1.26後楽園では青木真也がいつどこ権を掴んでいる。日本を代表するMMAファイターとDDT名物の組み合わせで何が起こるのか。権利行使前にMMAの主戦場ONE Championshipで試合が組まれ、万が一敗れることがあれば、いつどこ権がシンガポールを拠点とするONEの管轄下に入ってしまう場合もなくはない。そんな事情もあって、青木は「早く(権利を使いたい)」と語っている。

 予定される正規のタイトルマッチは、2月23日の田中vsMAO(後楽園ホール)。この試合の前に青木が王座挑戦すると、FMWでデビューしECW、新日本プロレスのベルトも巻いたベテランと前ONEライト級王者の対戦が実現することになる。こうした顔合わせの可能性が出てくるのもDDTならでは。6.7さいたまスーパーアリーナまで、今後は全大会がタイトル戦線に直結してくる。

文/橋本宗洋

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