集英社の「週刊少年ジャンプ」に連載中の人気漫画「僕のヒーローアカデミア」に海外から批判が殺到し、登場人物を改名するという事態に発展している。
2月3日、「週刊少年ジャンプ」編集部が「僕のヒーローアカデミア」に登場する“志賀丸太”という登場人物の名前をコミックス収録時に変更すると発表。理由は“丸太”という名前が第2次世界対戦中の「731部隊」や捕虜を意味する“マルタ”を連想させるとの批判を受けてのことだという。
志賀丸太は総合病院の創設者で人体実験などを行う悪役という設定で、「被害者のことを意味する“マルタ”が加害者を表すものとして根付いてしまう」と海外を中心に批判が高まっていた。
コメンテーターで「BuzzFeed Japan」記者の神庭亮介氏は「まず(お笑いコンビ)8.6秒バズーカーの『ラッスンゴレライ』を原爆投下と関連付けるデマが広がってすごく叩かれたことを思い起こした。実際に読んでみて『731部隊』を強く想起させるような内容ではなかったので、批判がやや強引かなと感じました」と同問題についての印象を語った。
集英社の対応については「実際に批判が殺到したことに対して集英社側が『そんな意図はまったくなくて誤解です』という風に説明することは誠意のある対応でいいことだと思うんですが、意図がまったくないのであれば、名前を変える必要はなかったんじゃないか」とし、登場人物の改名については批判的だった。
キャスターを務めるフリーアナウンサーの柴田阿弥は、「集英社の発表を読んで、センシティブな話題だし、多くの人に楽しんでもらいたいという作者の方の意図があるとしたら、もしすごくこだわりのある名前なら別だが、より“安牌”をいきたくなる(名前を変えて早期終結させたい)という気持ちはわかるかなと思う」と改名について一定の理解を示し、神庭氏も「作者の堀越耕平さんのTwitterにもリプが殺到していて、中には口汚く罵るようなものもあった。そういうことにも心を痛めて決められたと思うので、同情してしまいます」と作者を思いやった。
しかし、神庭氏は改名にはやはり否定的で「説明するところまではいいとして、作品の内容を変えるというのはすごく重い決断だと思うんです。今は無数に炎上事案が起きていて、今後もこういったことは起こりうる。炎上が起きるたびに『すいませんでした。変えます』みたいなことが横行すると、表現の自由ってなんだっけ? ということになってしまう。出版社としてはこの対応をもって作者を守ったということなのかもしれないし、堀越さんも苦渋の決断だったと思うが、(内容を)変えるということには慎重であってほしかった」と、表現の自由の尊重を訴えた。
柴田は「前にこの番組でも取り上げたが『広島』『長崎』を揶揄するようなセリフがあったら日本でも嫌だなと思う人がいるので、もちろん気をつけなければいけないなと思うが、一方で今問題になっているのは過剰反応があるということですよね」と差別などを含む“ヘイト表現”と“表現の自由”の関係について神庭氏に質問を投げかける。
神庭氏は「今回は過剰反応かなと思っている。漫画の内容は『731部隊』を想起させるようなものではない。もしそういう意図があったとしたら、被害者ではなく加害者のマッドサイエンティスト側に“マルタ”とつけたのは整合性がないし、おかしい」と答え、「よくない形で炎上の決着を図ってしまったのかなと思いますね」と今回の問題を結論づけた。
(AbemaTV/「けやきヒルズ」より)
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