「風俗で稼ぎ一晩で1000万円」「叩けば出てくるATM」ホストと“ホス狂い”は現代日本の象徴か
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 ホストクラブにハマり大金を貢ぐ“ホス狂い”の女性たち。AbemaTV『AbemaPrime』では、そんな“ホス狂い”状態にある女性と、彼女が貢ぐホストを直撃。その不思議な関係について考えた。

■「1本480万円の高級酒をオーダー」

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 「出稼ぎの仕事終わりで。ホストに貢ぐために、ソープランドに、1週間から長くて2週間くらいかな。県外の風俗店で、期間内だけ働くみたいな。その方が稼げると思うので」。

 午前1時、待ち合わせ場所に大荷物を持って現れたナツミさん(23、広島県在住)。彼女が貢ぎ続けているのが、新宿・歌舞伎町のホストクラブ「SHINY」のナンバー2、五月五月(サツキメイ)さん、ジャニーズ系のイケメンだ。出会ってから1年4カ月。始めは軽い気持ちだったというが、半年ほどで急激にのめりこみ、これまで総額4000万ほどをつぎこんだという。

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 「休みの日に一緒に出かけてくれたり、金を使えば使うほど構ってくれるし。使った分だけ還元してくれるから、もっと使わなきゃなって思う」。ホストクラブには五月さんと出会う前から通っていたというが、今は「五月さん以外には興味がない。でも、他のホストとなにが違うのかは分からない。付き合いたいから金を使っているわけではないし、楽しいだけ」。それは恋愛感情ではないのだろうか。「うーん…。応援したい一心で指名してるのかなって…」。恋愛感情はゼロですか、そう重ねて尋ねると、「好きなんだろうか。好きだ、多分」と答えた。

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 今回の出稼ぎ期間は約1カ月半。大金を握りしめ、いよいよ五月さんのいる東京へ。チョコレートの箱に詰めた1万円札の束。「これで400万くらい。今日は締め日なので使う」。その月の最後の営業日。売上げによってお店でのランキングが決まるホストにとっては大切な日だ。「彼をナンバー1にしてあげたい」。ナツミさんも、そう考える一人。「朝、LINEが来た。“とりあえずお金に気を付けて持って帰ってきて”って。とにかくお金が大事だから(笑)。私よりもお金が」。

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 いよいよ五月さんとの再会。おめかしして入店したナツミさんだったが、五月さんと軽い挨拶を済ませた後は、会話は全く弾まない。そのうちに五月さんは「特に話すことないんやけど」と、他のホストを呼び寄せてナツミさんの隣に座らせると、他の客の元へと去ってしまった。「取材が入ってたから、これでもいつもよりも会話は多かった。俺とあの子にとっては、あくまでもここはお金を使う場所なんで」。

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 そして店内は、締め日の最後の追い込みに入る。客たちが、愛するホストをナンバー1にすべく、次から次へと高級シャンパンのオーダーが舞い込む。ナツミさんも負けじと、1本150万円のシャンパンを3本も注文。そして“一撃1000万!”“一撃1000万!”とのコールが飛ぶ中、1本480万円の高級酒「ヘネシーリシャール」を追加した。レシートには「総合計 10,048,600円」。「笑うよね。ケタがおかしいもん」とナツミさん。しかし、この“一撃”の甲斐あって、五月さんは見事ナンバー1ホストに輝いた。

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 目に涙を浮かべたナツミさんは「多分、私以上にメイ君の方がしんどかったと思う。今日のこの景色が見たくて、昨日まで一生懸命頑張ってこれた。リシャールの(酒言葉)“一生あなたを愛します”。素敵な日をありがとう」と、マイクを通してスピーチした。

■「叩けばお金が出てくるATMっすよ」

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 ナツミさんが風俗で稼いでいることを五月さんは知っているのだという。それでも「私に“体売って稼いで来い!”って。“お前の金は俺の金”って。捨てられたくないし、頑張る目標があるから生きているようなもんだから。むしろ頑張らせてくれてありがとう、生きる価値を与えてくれてありがとう、みたいな。自分よりも彼が輝いてくれれば、私はそれで満足かなって」と、悲壮感はない。

 それでも虚しくなることはないのだろうか。「時々冷静になると、“何してるんだろう”って思う時もあるけど、これがなくなったら私、何もなくなるなと思って。五月さんと会っていない時は、“無”。仕事をしていた方が精神的に安定する」(ナツミさん)。

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 とろサーモン久保田かずのぶは「風俗店というか、そういうお店の店長をしていたことがあるが、確かにホストにハマっている方はいらっしゃった。“育成ゲーム”のような感覚で、育てて育てて1位にしていくという」と振り返る。

 では、そこまで話すナツミさんに、五月さんはどのような感情を抱いているのだろうか。「叩けばお金が出てくるATMっすよ」とあっさり。かわいそうだと気持ちが揺れるようなことは一切ないと断言する。

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 そんな五月さんをフリーアナウンサーの柴田阿弥は「本当に人それぞれの価値観だし、お金の使い方もそれぞれだと思う。ただ、人様の大事なご子息に言う言葉ではないが、クソだなと思った。本当にごめんなさい…」と厳しく批判する。

 しかし五月さんは「ホストクラブに来る女性というのは、基本的に心に何か闇を抱えていたり、何か物足りなさを感じていると思う。柴田さんもそうだろうし、男性にもそういうところはあると思う。ガサガサの髪にトリートメントをするように、僕がトリートメントしてあげているという関係だ。そして、僕にはホストとしての価値しかなく、その価値を上げるためにホストをしている。その応援をしてもらっているという感覚だ。僕の幸せが彼女たちの幸せなので、僕はホストをして生きていくだけ。好きになることはまずないと思うし、結婚とかはないかな」と淡々と説明する。

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 「小さい頃から駅伝と競歩をやっていて、オリンピックに出ているような人たちと合宿にも行っていた。大学卒業後は、銀行に入った。でも、ずっと勝負の世界で生きてきた僕にとっては、一般の社会はぬるかった。いい給料をもらってはいたが、0か100かの世の方が良かった。月に4ケタ万円稼いでいるが、魅せる仕事なので、時計や車に使っている。やっぱりピンキリの世界だし、いつ落ちるか分からないので多少の貯蓄はしているが。使ってもらっている分、もっと魅せたり、こうやってテレビに呼んでもらったりするように努力するだけ。そして30までには自分のお店を持ったり、起業したいとも考えている」。

■「これは恋愛というよりも、信仰に近い」

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 慶應義塾大学特任准教授の若新雄純氏は「これは何が魅力なのか?とか、良い・悪いといった問題ではないし、会社の中の競争とか、普通の恋愛のモテる・モテないとは次元が違う問題だ。ご飯が食えていても、自分が何のために存在しているのか、何のために頑張っているのか、といったことがわからなくなってしまっている人はいると思う。お客さんもホストの側も、そういう“空虚”と“空虚”だからこそ“真空の引力”が生まれるし、お金を使う・使ってもらう瞬間に互いの存在意義を感じるのだと思う。お互いの価値を作り出している以上、この結びつきはものすごく強いはずだ」と指摘する。

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 その上で「人が自分の役割を見失った時など、かつては根本的なところで宗教が救ってきたと思う。しかし、今の日本にはそのような強い信仰はないと思う。その意味で、ナツミさんの五月さんへの感情は恋愛というよりも信仰に近いものなんだろうと思うし、それ以外にナツミさんを救えない以上、この業界や、二人の世界を批判することは誰にもできない」との見方を示した。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

▶映像:ナツミさんと五月さんが生出演

ナツミさんと五月さんが生出演
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