2月7日にインドネシア・ジャカルタで開催されたONE Chmpionship「ONE: WARRIOR’S CODE」。未知の強豪ユーリ・ラピクス(モルドバ)がマラット・ガフロフ(ロシア)をわずか1ラウンド67秒、バックチョークで瞬殺する大波乱に場内は騒然となった。
今ではUFCライト級王者のハビブ・ヌルマゴメドフを輩出した「戦闘民族の国」出身の男として、格闘ファンにはすっかりお馴染みとなったダゲスタン共和国出身のガフロフ。
ONEでフェザー級王者を戴冠し、2010年のデビュー以来プロ15連勝と無類の強さをみせてきた。2つの敗戦も現フェザー級王者のマーティン・ニューエンと松嶋こよみの2強相手に落としたものだったが、ONEフェザー級のトップ3の一角から、新たにさらなる激戦区ライト級に階級を上げて再出発となる試合だ。
一方のラピクスは、旧ソビエト連邦圏のモルドバ出身。MMAの成績は13戦全勝、しかも全戦サブミッションでの1本勝ちかパンチでのKO勝ちがズラリと並ぶ若干23歳の猛者。K-1に参戦していたジョルジオ・ペトロシアンのチームに所属していることからも打撃への自信と適性がうかがえる。
試合開始早々、未知なる強豪がその力を解き放つ。鋭い右ローから、伸びる左ストレートをみせ、フルスイングの右。ラピクス本人も前に倒れ込むなど「沈める意図」を感じる一撃だが、これはガフロフが間一髪のところでかわした。
再びラピクスの右ロー、長くしなるムチのようなローがヒットすると「ビシッ」とにぶい音が響き渡る。2発、3発とローを放たれると、カットするガフロフの動きが明らかにおかしい。1発目のローが効いているのかじりっと後退。ロープ際で左右の連打を打ち込まれ必死に組み合ったガフロフだったが、ラピクスに軽々と投げられバックチョークを極められた。
足をフックされ、首を閉められた「コブラ」ことガフロフは何もできず、力なく失神睡眠状態。プロレスのスリーパーホールドを地で行く「眠り落ちる」衝撃シーンと共に、1ラウンド67秒でKOを告げるゴングが打ち鳴らされた。
階級を上げたガフロフの戦いに注目していたAbemaTVで解説を務めた大沢ケンジ氏も「ヤバいヤツが来ましたね…」とラピクスの強さに唖然。視聴者からも「つええええ」「落とした」「ウソだろ」など驚きの声が寄せられた。さらにガフロフが落ちる寸前に2度3度、力なくタップしたものの様子を見たレフェリーに対して「止めてあげてよ」「レフェリー気づいて」「遅いのでは」といった声も上がるほどラピクスの強さが際立った一戦に、敗れたガフロフですら試合後、ただ苦笑いを浮かべる他なかった。
ONEのライト級といえば、元王者の青木真也が参戦している階級として日本のファンにも馴染みが深い。クリスチャン・リー、ザイード・アサラナリエフ、エディ・アルバレスとレベルの高い選手が名を連ねているが、次戦以降、「フィニッシュ率100%男」ユーリ・ラピクスに注目が集まることは必至だ。
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