美空ひばり、手塚治虫…“故人が蘇る”AI技術とクリエイティブの関係をどう考える?
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 去年の紅白歌合戦で議論を巻き起こした「AI美空ひばり」。東京・六本木の森美術館でも上映されており、期間が延長されるほどの人気を集めている。

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 この試みについて、「昔のことが蘇るというのはいいと思う。自分の子どもとか、孫にも見せていきたいと思う」「新しいものが出てきていいんじゃないの。また人気が出るんじゃないかと思う」という評価の声もある一方、「大ファンとしては、本人がもし生きていたらショックを受けると思う」「人形みたいで違和感があった。亡くなった人をそこまでして無理に蘇らせる必要があるのかと思った」「やっぱり本物がいいよね」と複雑な胸の内を明かすファンも。

 さらに今月に入ると、“もし手塚治虫が生きていたら、どんな作品を描くのだろう”という疑問から生まれた「TEZUKA2020」というプロジェクトが発表された。手塚作品を学習したAIが全く新しいキャラクターやシナリオを考案、執筆した新作『ぱいどん』が間もなく週刊漫画誌に掲載される予定だ。

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 ディープフェイクの問題など、人権を侵害するような使われ方が世界的にも懸念されるこの問題。ミュージカルに出演して言える宮澤エマは「歌はテクニックだけではいし、美空ひばりさんの魂や生き様が反映されているから私は大好きだった。だから紅白歌合戦を見ていて、歌詞の意味を踏まえて届けようとしたらこんな風には歌わないだろうとか、ここでフレーズを切らないだろうなどと思ってしまった。冒涜しているとは思わないが、テクノロジーを見たという感覚で、美空さんを見たとは思わなかった。最近では、音程を自動で補正するオートチューンもある。しかしそれに頼っていることを隠し、練習を省いた状態のまま、お金を払っているお客様の前に立つというのはどうなのだろうか」。また、漫画作品についても、「(作者が亡くなったため未完に終わった)『イタズラなKiss』を最後まで読みたいと思う。でも、それは作者の頭の中にしかなかったと思う」とコメント。

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 ラッパーのKEN THE 390は「普通の人がiPhoneに鼻歌を吹き込んだだけでAIが音楽に仕上げてくれるようになれば、もっと音楽制作が簡単になるし、誰でも参入してくることができる。もともとヒップホップにはそういう概念があるし、それはいいことだと思う。ただ、“手塚治虫風”AI、“美空ひばり風”AIであれば興味を持てるが、“本人です”と言われると、さすがにまずいのではという気がする」と話した。

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 また、現代美術作家の柴田英里氏は「試みとしてはありだと思うが、ドナーカードのように、“私をAIにしないでください”“AIにしてもいいが、こういうお金の使い方をしてください”というように、自己申告しておく時代がくるのではないか」と指摘。スマートニュースの松浦シゲキ氏は「幼子を亡くした親がデータを元に再現されたVRを見たいという気持ちを止められるだろうか。ビジネス、思い出などを線引きすることが大切だ」と訴える。

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 こうした問題について、東洋大学の藤本貴之教授は「僕たちが議論している“人工知能”は、あくまでもコンピューターの処理能力や検索能力などが高まったものであって、いわばそれによって“最適解”を出しているだけ。やはり違和感は出る」とした上で、「人工知能を作った側の責任や、その人工知能を使ってポルノを作った人の道義的責任は問われる。この技術が最も使われるのはポルノや政治的なプロパガンダだが、それはやらないよね、ということを祈りながら、僕たちは研究を続けている。そして、人工知能が発展して人間の仕事を奪うなど、人間に脅威になるという話もあるが、常識的に考えてありえない展開だ。AIだけが発展すれば当然脅威になるが、おそらくその頃には社会もまた変わっている」とした。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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