競輪初心者の方からこんな質問がありました。
「捲りと差しの違いが今ひとつわからん」
基本的には逃げている先頭の選手を最終4コーナー(4角)までに抜けば「捲り」、その後の直線で抜けば「差し」になります。「決まり手」に関してはなんとなく知っているけど、正確にはわからないという人も多いと思うので、一通り説明しておきましょう。
競輪の決まり手とは「1着および2着に入った選手が最終周回でとった戦法」のことで、「逃げ」「捲り」「差し」「マーク」の4種類があります。
◆逃げ
最終周回開始時にホーム・ストレッチ・ラインを先頭で通過した選手が、そのまま先頭でゴール線を通過するか、2着に入った場合の決まり手です。簡単に言いますと「残り1周を先頭で逃げ始めたら『逃げ』」です。
◆捲り
最終周回開始時にホーム・ストレッチ・ラインを先頭で通過せず、最終4コーナーまでに先頭の選手を追い抜いてゴール線を通過するか、2着に入った場合の決まり手です。簡単に言いますと「残り1周で4角までに先頭の選手を抜いたら『捲り』」です。
◆差し
最終周回開始時にホーム・ストレッチ・ラインを先頭で通過せず、最終4コーナーより先で先頭の選手を追い抜いてゴール線を通過するか、2着に入った場合の決まり手です。簡単に言いますと「4角抜けた直線で先頭の選手を抜いたら『差し』」です。
◆マーク
最終4コーナーまでにマークしていた選手(番手に付いた選手)が1着に入ったときに2着でゴール線を通過した場合の決まり手です。簡単に言いますと「番手の選手が2着に入ったら『マーク』」です。
マークだけは2着限定の決まり手です(※例外として1着で入線した選手が失格になった場合は1着でも決まり手になります)。そう、1着だけでなく2着までの決まり手になっているのがややこしいところになります。
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例えば「残り1周を先頭で逃げ始めたら『逃げ』」と言いましたが、そこには「残り1周を先頭で逃げたが最後に差されて2着。でも、決まり手は『逃げ』」というややこしい場合も含まれます。この場合は……
・1着が「差し」、2着が「逃げ」
という決まり手になるのです。
そのまま逃げ切っていれば……
・1着が「逃げ」、2着が「マーク」
となっていました。他にも……
・1着が「捲り」、2着が「マーク」
というのはオーソドックスな展開が想像しやすいでしょう。では、こんなのはどうでしょうか?
・1着が「差し」、2着も「差し」
想像しやすいのは「3車ラインがそのまま4角を超えたけど、その後で2番手、3番手の選手がズブ、ズブと先行選手を差してゴール」で、この決まり手になります。ただし、似たようなパターンで「3車ラインの2番手、3番手が2センターでズブズブと先行選手を追い抜いて、そのままゴール」の場合、見た目には「差し」「差し」なのですが、決まり手は……
・1着が「捲り」、2着が「マーク」
になるわけです。
では、「捲り」「マーク」という決まり手になっていたら、すべてこのパターンなのかというと、もちろんそんなことはありません。むしろ「別線の先行選手が最終バックで先頭の選手を捲って番手とそのままワンツーフィニッシュ」という場合の決まり手が最もオーソドックスな「捲り」「マーク」になりますし、そこからちょっとひねって「別線の先行選手が最終バックで先頭の選手を捲った後、先行ラインの番手選手がその選手に乗り換えてそのままゴール」の場合も……
・1着が「捲り」、2着が「マーク」
になります。
「逃げ」「逃げ」、「マーク」「マーク」というのは存在しませんが、「逃げ」「捲り」、「逃げ」「差し」、「逃げ」「マーク」、「捲り」「逃げ」、「捲り」「捲り」、「捲り」「差し」、「捲り」「マーク」、「差し」「逃げ」、「差し」「捲り」、「差し」「差し」、「差し」「マーク」の11種類ある決まり手の組み合わせには、いろいろなレース展開のパターンが存在しているのです。
……え!? 「逃げ」「マーク」は同じラインの先行、番手で決まっただけじゃないのかって?
いやいや、例えば「逃げのラインに捲りを打ってきた選手が捲りきれずにタレたが、その番手だった選手が先頭選手の番手にハマって、そのまま4角超えてゴール」した場合も「逃げ」「マーク」になります。
車券を買ったけどリアルタイムでレース観戦できずにリプレイ動画を観るということがあると思いますが、先に結果と決まり手を確認して「どうしてこの決まり手になったのか?」を頭の中でシュミレートしてからリプレイ動画を観るという楽しみ方もあるのです。
様々なレース展開の思考が鍛えられる上、競輪の奥深さを知れると思いますので、是非ともお試しを♪