千葉県・野田市で、小学4年生の栗原心愛(みあ)さんが虐待され死亡した事件の裁判で25日、心愛さんの叔母に当たる勇一郎被告の妹が証言台に立った。
心愛さんと一時同居していた勇一郎被告の妹は、心愛さんから「あざがある」「パパに蹴られた」と腰のあざを見せられたといい、そのことを勇一郎被告に問いただすと「やっていない」と暴行を否定していたと証言した。さらに、「心愛がご飯をむさぼるように食べたりしていました。2日間ご飯を作ってくれなかったと言っていて、『痩せると心配をかけちゃうからいっぱい食べるね』と言っていました」とも証言し、最後は「心愛を返してください」と涙ながらに訴えた。
法廷では検察側の証拠として、心愛さんと勇一郎被告のやりとりが撮影された動画が流された。そこには、玄関で勇一郎被告が「土下座だよ お前早くやれ」と言って心愛さんに土下座をさせる(2018年7月10日)、トイレに行きたがっている心愛さんが泣きながら無理やりスクワットをさせられている(2018年7月30日)、心愛さんが立たされ続け勇一郎被告が「座ったらわかるからね」とカメラを置いたままにする(2019年1月5日)、といった様子が撮影されていた。
こうした勇一郎被告による異常な支配的行動について、慶応大学特任准教授などを務めるプロデューサーの若新雄純氏は次のような見方を示す。
「報道を見る限り、勇一郎被告は外では紳士的だったり仕事ではおとなしい人だが、家に帰るととんでもない支配的な行動に出ていた。なぜそんなことがまかり通るかというと、閉鎖された空間で、誰も注意しないし逆らってこないから、完全に間違った形で王様として君臨して、子どもを奴隷化していた。目的は不安の解消やストレス発散、やり場のない何かなのかはわからないが、家庭の中だけの“無法王国”の王様を毎日飽きずにやっていて、彼の中にどんな屈折したものがあってそうなってしまったのか、構造をちゃんと知りたい」
また、2児の母であるテレビ朝日の大木優紀アナウンサーも、裁判で流れた動画に言及。「私達が思っている印象よりも、あまりの状況に心愛さんが反抗的な言葉を一生懸命投げかけている部分がある。当時10歳の彼女が納得できない・おかしいと感じることに声を上げていたのに、誰も救いの手を差し伸べられなかった、その思いが全く父親に届かなかった状況の異常さを感じる」と述べた。
これを受けて若新氏は、「何が彼を家庭という密室の支配者にしてしまったのか、どういうことに気をつければ社会は同じことを繰り返さないですむのか。犯人を一人の極悪人として批判するのは簡単だが、こうした行動にパターンや構造的な原因があるならば、再発を防ぐためにもっと丁寧に知りたい」と訴えた。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)





