遂に南極を除くすべての大陸に拡大した新型コロナウイルス。安倍総理大臣は27日午後に開かれた政府の新型コロナウイルス対策本部で、感染の拡大を防ぐために全国の小学校、中学校、高校と特別支援学校について、春休みを前倒しして来週月曜日から臨時休校にするよう要請、議論を呼んでいる。
この問題について、AbemaTV『AbemaPrime』に出演した陸上自衛隊医官の経験もある中村幸嗣医師は「正直に申し上げると、日本政府にしてはよくやったなと思う。ものすごく影響が大きいことで、感染対策としては2009年、新型インフルエンザの流行時に橋下徹元大阪府知事が指示した事案以外ない。遅いという意見もあると思うが、僕はよく頑張ったのではないかと思う。ただ、その新型インフルエンザが思ったよりはひどくなかったという経験から、初期対応として少し油断があったのだろう。現実的には経済の問題も含めて失敗したように見えると思うが、この2週間を頑張ってもらえば、そこまでひどくはならないのではないかと期待はしているし、頑張らなければもっとひどくなる可能性がある」と話す。
「クルーズ船で起きた感染のパターンと、周りで起きた感染のパターンとを混同しないことだ。確かに今回の新型コロナウイルスは、インフルエンザよりも接触での感染力が明らかに強そうで、北海道や東京などでの人混みが多い所で感染は起こしている。しかし、それ以外の感染はそこまで強くないと思われるので、人が集まらなければそこまで恐れることはないのではないか。皆さんがしっかり手洗い・消毒をやってもらえれば何とかなると思う。また、これを機会に、熱や咳が出たら休む、というスタンスを醸成できるチャンスになると思っている」との考えを示した。
一方、ナビタスクリニックの山本佳奈医師は「インフルエンザと同じくらいではないかということが中国のデータからは分かっているので、そこまで恐れる必要はないとは思っている。ただ、イベント自粛、休校の方針が急に決まったが、そもそも国内で感染がどれくらい広がっているかという全体像が分かっていないし、根拠なくやっているとしか思えない。検査について相談所に電話をかけてもつながらない状態で、重症例しか検査していない。そこで情報をピックアップしてしまうと、余計に怖いという印象が出てしまう」と話した。
また、PCR検査を巡って、国会では野党が「検査を受けたい人が受けられていない」と追及を強めている。厚生労働省の発表では、一日あたり全国で3830件の検査が可能な状況だ(地方の衛生研究所で1800件、民間検査会社(5社)で900件、検疫所(13カ所)で580件、国立感染症研究所で400件、大学(2カ所)で150件)となっているほか、27日には神奈川県が検体から10分から30分で検出できるSmartAmp法という方法を開発したと発表した。
全例検査について中村医師は「全例検査をやってデータを取るべきなのは間違いない。ただ医療者の人数や予算も含めて、それだけの余裕があるか。だったら重症者だけに専念させて欲しいとい」とコメント。さらに「“病院たらい回し”と言う人もいるが、大切なことは“誰に検査をするか”だ。少なくとも医者が検査した方がいいと言ったのに保健所が断っているという現状はなくすべきだと思う。熱が出ているような風邪の患者は新型コロナに準じて同じことをしなさいと言った方がお金もかからなくて一番いいと思う」との見解を示した。
しかし山本医師は「私は全例検査した方がいいと思っている。自分がかかったかどうか分からないまま、“2週間家にいなさい”と言われるのと、少なくとも症状があり検査して“新型コロナだ”と分かれば、高齢者がいるところには行かないとか、高齢者が家にいるのであれば、別の部屋にいるようにするといった対策を取ることができる。民間の検査会社もあるし、日本ではまだ承認されていない新薬も入れて検査していくようにすることは、私は可能だと思う」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)
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