33年ぶりの金メダル、男子選手も大活躍!「世界選手権ケイリン」

 「2020国際自転車競技連合(UCI)トラック世界選手権」がドイツのベルリンにて2月26日から3月1日まで開催されました。

 一般的なニュースでも取り上げられていたので結果を知っている競輪ファンの方も少なからずいると思いますが、この大会は東京オリンピックのためにとても重要な大会だったのです。

 2020東京オリンピック自転車トラック競技の出場枠は189名分ありますが、開催国枠は存在しておりません。つまり他国同様にまずは枠を取らなければならないのです。

 出場枠は「オリンピックランキング」において上位の国から順に与えられる決まりになっています。オリンピックランキングのポイントを獲得できるレースは以下の3つ。

・世界選手権

・大陸選手権

・ワールドカップ

※ワールドカップのみ、該当する期間の上位成績3大会分のポイントを加算

 ちなみに同じ順位でも上記の大会ごとにポイントは異なり、多い順に世界選手権>大陸選手権>ワールドカップとなっています。つまり最もポイントが稼げるのが世界選手権ということ。そしてポイントの対象となる大会の開催期間は2018年7月6日から2020年3月1日まで。つまり……

 この大会がポイントを獲得できる最後のチャンスだったのです。さて、「ケイリン」の結果はどうだったのでしょうか。まずは男子の結果から。

 今大会には28人が出場。日本からは2019年世界選手権銀メダルの新田祐大選手、2018年世界選手権銀メダルの河端朋之選手、2018年、2019年アジア選手権2連覇の脇本雄太選手の3人が出場しました。史上最強と言っても過言ではないメンバー。

 海外からは競輪ファンにはおなじみマティエス・ブフリ選手(オランダ/2019年世界選手権優勝)やシェーン・パーキンス選手(ロシア)、シュテファン・ボティシャー選手(ドイツ/2019年世界選手権銅メダル)などの強敵が出場しました。

 “日本ケイリン三銃士”は1回戦を難なく突破。しかし2回戦で河端選手が敗退。新田選手も残念ながら決勝には進めず、7-12位決定戦に回って3位でゴールするも、なんとブフリ選手を落車させたとして降格。12位に。脇本選手のみが決勝へ進出しました。

 決勝、残り2周のホームで3番手となっていた脇本選手。打鐘は鳴りませんが残り1周半で先頭へ。逃げようとする脇本選手をオランダのラブレイセン選手が外から交わして先頭へ躍り出ると、脇本選手がその番手に付くという絶好の展開。最終3角で脇本選手が外に出して捲ろうとするも粘るラブレイセン選手! 最後の直線勝負! 脇本詰める、詰める、詰める……が、車輪1個差で届かず! 惜しくも銀メダル!!

 この結果により、男子ケイリンの出場1枠は確かなものになりました。脇本選手が代表選手として選ばれるのも、ほぼ間違いないでしょう。

▶情報:五輪出場が濃厚となった脇本雄太のプロフィール

 「これがラストチャンスだった。悔しい……」と涙を流した河端選手。貴方の活躍があってこそ獲得できた出場枠であることをケイリンファンは皆わかってます。ありがとうございました。

 さて、男子ケイリンに出場できるのは脇本選手だけかというとそんなことはなく。付帯枠というのがあって、男子スプリントに出場する選手は男子ケイリンにも出られるのです。今回の世界選手権で男子スプリントに出場したのは新田選手と深谷知広選手。その結果は……新田選手が5位で深谷選手が8位。メダル獲得とはなりませんでしたが、オリンピックの男子スプリント出場1枠はほぼ確定。問題は新田選手と深谷選手のどちらが選ばれるのかということ。

 成績はほぼ互角でポイント獲得の実績は深谷選手のほうが上ですが、新田選手には付帯出場ケイリンでもメダルを狙える力があります。競輪ファンとしては、悩ましい二者択一となるでしょう。

 一方、女子ケイリンはどうだったのでしょうか。今大会には26人が出場。競輪ファンにはおなじみロリーヌ・ファンリーセン選手(オランダ)やゴドビー選手(アメリカ)、マチルド・グロ選手(フランス/2019年欧州チャンピオン)に立ち向かった日本人選手は小林優香選手と太田りゆ選手。その結果は……残念ながら2人とも1回戦敗退でした。

 それでも今までの結果から出場1枠は確定の見込み。ちなみに女子もスプリントに出場する選手がケイリンにも出られるため、そちらの枠があれば小林選手と太田りゆ選手の2人揃って出場できるのですが……今大会で太田選手は1/16決勝で敗退。小林選手は1/8決勝で敗退し、出場枠の獲得はほぼ絶望的となってしまいました。

 過去の実績から小林選手が女子競輪選手として選考されて、ケイリンとスプリントで出場することになりそうですが、競輪ファンとしては2人揃ってオリンピックに行くものと思っていただけに、悲しい結果となってしまいましたね……。

 ちなみに他競技では男子オムニアム(4種目の総合ポイントで競い合う競技)が出場1枠を確保する見込みで、競輪ファンにはおなじみの橋本英也選手が代表に選ばれる可能性が高いです。今大会では総合11位に終わってしまいましたが、過去にはワールドカップで表彰台に登ったことがあるのでメダルを期待したいです。

 そして今大会で最も活躍したのは、女子オムニアムの梶原悠未選手(筑波大学)でしょう。この種目で日本史上初の金メダルを獲得! 33年ぶりとなる世界選手権での金メダルを獲得しました!!

 女子オムニアムでのオリンピック出場はほぼ確実。付帯する女子マディソン(決められた距離と時間内で、2人組がタッチして交代しながらポイントを稼ぐレース)でも出場し、一番輝くメダルの獲得が大いに期待される選手です。是非覚えておきましょう。

 今大会の結果を受けて日本は、男子・女子ケイリン、男子・女子オムニアム、男子スプリント、女子マディソンの6種目で出場枠をほぼ確保しました。4月1日までに代表候補選手が発表され、5月1日までに最終選考選手が発表されます。果たして誰が選ばれるのか。競輪ファンとしてはかなりドキドキですね。

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