常にフレッシュで魅力的な外国人選手を招聘してきたDDTに、オーストラリアから新戦力がやってきた。空中殺法を得意とするロイス・チェンバースだ。
まだキャリア2年に満たないロイスだが、世界中のプロレス映像をチェックしている竹下幸之介の目に留まり、熱烈な推薦を受けて初来日が決定。
3月1日の大阪大会から参戦予定だったロイス。タイミングが悪いことに新型コロナウィルスの影響でDDTの興行が中止に。そのため、日本マット初登場は無観客試合として生配信された同日の道場マッチに。
それでも噂にたがわぬ動きを見せると、3月3日の道場マッチではメインイベントで初代ユニバーサル王者クリス・ブルックスとのシングルマッチが組まれた。
ここでもロイスは想像を超える動きを披露。ハンドスプリングで身を翻しながらのエルボースマッシュ、エプロンから決めるサスケスペシャル(エプロンでバク転してのムーンサルトアタック)といった独創的な攻撃に、場内で観戦していた選手たちからも「凄え!」、「なんだこれ!」といった声が。
クリスもロイスの飛び技にカウンターを合わせていき、日本人の試合とは一味違う驚きに満ちた試合になった。勝ったクリスは、外国人同士のメインに「凄く光栄なことだし、自分がチャンピオンでいる限り、こういう機会を増やしていきたい」。一方、敗戦に「クソみたいな気分だ」というロイスも「今度はオーディエンスの前で、自分が世界一のハイフライヤーだってことを証明したい」と意気込んだ。
(勝ったのはクリス。必殺技プレイングマンティスボムが高角度で決まった)
ロイスを推薦した竹下曰く「僕もロイスは世界一のハイフライヤーだと思ってます。そんな選手を天井の低い道場で見られるのも、ある意味ぜいたくなのかなと」。道場は天井が低く、それだけ飛び技が制限される。それでも見る者を魅了したロイスが通常の興行で、ファンの前で試合をしたら「凄い衝撃がマット界に走ることになりますよ。僕は“ロイスインパクト”って呼んでるんですけど」(竹下)。
ロイスは3月20日の後楽園ホール大会にも出場予定。ここでさらなる本領を発揮することは確実だ。“飛びまくり”の衝撃まで、あとわずかである。
イギリスのクリス、オーストラリアのロイス加え、DDTの常連外国人にはカナダのマイク・ベイリーもいる。DDTでの彼らはかつてのケニー・オメガでありエル・ジェネリコと言っていい。現時点でも人気選手だが、そう遠くない将来、世界トップレベルのスターになってもおかしくないレスラーたちなのだ。竹下、遠藤哲哉といった日本勢だけでなく、現在のDDTでは外国人も新世代の台頭が大きなポイントになっている。
文/橋本宗洋
写真/DDTプロレスリング