趣味と実益を兼ねるつもりか。将棋ファン注目の一大企画に、トップ棋士・広瀬章人八段(33)が、プロ将棋界では前代未聞のドラフト会議に、趣味である麻雀を指名理由に加える意向を明かした。超早指し棋戦「AbemaTVトーナメント」は、個人戦だった第1回、第2回から装いを新たに、3人1組の団体戦となった。しかもリーダーとなるトップ棋士が、残り2人の棋士をドラフトで選ぶという斬新さ。そのリーダーの一人、広瀬八段が「チームワークが必要になってくると思います。趣味がありますので、練習がてら麻雀でも」と発言。棋風、同門など、関係者・ファンが予想を立て始めている中、まるで違う角度から一手が飛んできた。
広瀬八段といえば竜王、王位とタイトル歴があり、現在も渡辺明三冠(35)相手に、王将戦七番勝負で奪取に王手をかけている。コンスタントにタイトルのかかる番勝負に登場するトップ棋士だ。その広瀬八段の趣味が麻雀。同じテーブルゲームということもあってか、プロ将棋界にも麻雀ファンは多く、麻雀対局番組に出演すれば、プロ雀士顔負けの勝負強さと読みの深さを見せることでも知られている。将棋の早指し戦同様、麻雀も瞬時の判断が勝敗を決める。そんな共通点を感じてなのか「せっかくだから麻雀を好きな人を選ぼうかな」と、自ら指名する棋士とも盤を挟むだけでなく、卓を囲もうというのだ。
若手からベテランまで実力者が揃った第1回、第2回大会はしっかりチェックした。「普段の対局と異なった環境なので、見ている方は非常におもしろいなと思っていました。いずれオファーが来るかなと思っていましたが、まさかこのような団体戦で、しかも自分で選手を選ぶとは思ってなかったですね」。対局以外のことをすることになろうとは、さすがに構想外だったのだろう。
超早指しのルールについては「とにかく決断よく指すこと。勝負どころを見極めて、間違えないように指すことが重要」と心得ている。「麻雀好き」というワードでエンタメ感を演出しているが、麻雀番組で活躍している棋士は誰もが一線級ばかり。結果的に最強布陣が完成するようなことも、十分に起こりうる。
◆第3回AbemaTVトーナメント
第1回、第2回は個人戦として開催。羽生善治九段の着想から生まれた持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算されるフィッシャールールは、チェスなどで用いられるもの。1回の対戦は三番勝負。過去2度の大会は、いずれも藤井聡太七段が優勝した。第3回からはドラフトを経て構成される3人1組の12チームが、3チームずつ4つのリーグに分かれて総当たり戦を実施。1対局につき1勝を1ポイント、1敗を-1ポイントとし、トータルポイントの多い上位2チーム、計8チームが決勝トーナメントに進出する。優勝チームには賞金1000万円が贈られる。
◆出場チーム&リーダー
豊島将之竜王・名人、渡辺明三冠、永瀬拓矢二冠、木村一基王位、佐藤康光九段 三浦弘行九段、久保利明九段、佐藤天彦九段、広瀬章人八段、糸谷哲郎八段、稲葉陽八段、Abemaドリームチーム(羽生善治九段)