お笑い賞レースでも大活躍するお笑いコンビ・かまいたちの山内健司は、将棋好き芸人としても知られている。仕事の合間には注目棋士の棋譜をチェックし、アプリでも毎日対局する。その山内が「見どころがありすぎる」と目を丸くしたのが、「第3回AbemaTVトーナメント」だ。超早指し戦としてファンにも好評だった大会が、なんと今回から団体戦、しかもドラフト会議まで行うという。「対局中に、チームメイトの方も別室で対局を見るんですか?それを見てどういうリアクションを取るのか、めちゃめちゃ気になりますね」と、想像するだけでワクワクが溢れ出している。
▶本編:かまいたち山内も注目の第3回AbemaTVトーナメント
持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算というオリジナルルールで行われた第1、2回大会は、藤井聡太七段が連覇。第3回の内容に注目が集まっていたが、プロ将棋界では例のない3人1組、計12チームでの団体戦、さらにリーダーのトップ棋士が自分で他の棋士を選ぶドラフト会議まで行われることになった。「各チームの代表者が、将棋界のフルメンバーじゃないですか。その人が指すのはもちろん、誰を選ぶのか。それに自分のチームの人が指している時に、どういうリアクションを取るのか。『うわー!そっち行くのか!』とか言うんですよね」と、普段は見られない姿を想像して、目を輝かせた。
緊迫感のある超早指し戦の魅力もさることながら、やはり話芸で生きている者としては、棋士の素顔やリアクション、トークへの興味が高いらしい。「解説の時はフラットに『こういう手もありますよね』だと思うんですけど、味方だから言える本音トークも出るんじゃないかと。『ここ、受けておいた方がいいんちゃうの!?』とか。そういう感想が聞けたら、めちゃくちゃおもしろいですね」と、思わず出てしまうようなひとことが、将棋フリークにとってはたまらない。
最近では、お笑いの世界でも番組企画で、相方を変えて漫才やコントをするものが増えた。「仕事では一緒になるけど、ネタのことをしゃべったりしたことがない人とやったりするのは、普段と違って楽しいです」と実体験があるからこそ、この大会では視聴者としてそれを楽しみたい。「将棋の先生方も、いつもは対局が終わった後の検討ぐらいしかしゃべらない人と、楽屋でより踏み込んだトークとか『絶対こうすると思った』とか、そういうのを見たいですよね」と、普段は混ざらない者が混ざった時の化学反応にも期待は大きい。
ドラフト予想に取り掛かると、真っ先に口を突いたのは第2回の準優勝者・糸谷哲郎八段だった。「糸谷さんには、藤井聡太君と組んで欲しいんですよ。『スーパー早指しチーム』にしてほしい。あと、田村康介七段とか。糸谷さんは普段からめちゃくちゃ速いし、『あのチーム、ヤバい』ってなるんちゃうかな。あと木村一基王位は、独特のポジションにいてはる方なので、自分の棋風と同じ人を選ぶのか、真逆の人を選ぶのか、どっちですかね」と実に楽しそうだ。指名の重複が予想される藤井七段については「みんな取りたいけど、あえて外すことがありますよね。僕はそんなに票が入らないんじゃないかなと。(指名は)3人ぐらい」と考えた。
最終的に考えたのは「糸谷哲郎・藤井聡太・大橋貴洸」と、「木村一基・藤井猛・丸山忠久」の2チーム。「大橋さんは、将来性があると言う人がめっちゃいますよね。丸山さんは、じわっと息の根を止めるような指し方が好き。これをやられたら相手が嫌っていうか、全体的に有利、優勢を作って仕留める感じですよね」と、若手からベテランまで幅広く選んだ。ドラフト予想だけでも実に楽しげだった山内。開幕後、仕事の合間の将棋ライフは、これまで以上に充実する。
◆第3回AbemaTVトーナメント
第1回、第2回は個人戦として開催。羽生善治九段の着想から生まれた持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算されるフィッシャールールは、チェスなどで用いられるもの。1回の対戦は三番勝負。過去2度の大会は、いずれも藤井聡太七段が優勝した。第3回からはドラフトを経て構成される3人1組の12チームが、3チームずつ4つのリーグに分かれて総当たり戦を実施。1対局につき1勝を1ポイント、1敗を-1ポイントとし、トータルポイントの多い上位2チーム、計8チームが決勝トーナメントに進出する。優勝チームには賞金1000万円が贈られる。
◆出場チーム&リーダー
豊島将之竜王・名人、渡辺明三冠、永瀬拓矢二冠、木村一基王位、佐藤康光九段 三浦弘行九段、久保利明九段、佐藤天彦九段、広瀬章人八段、糸谷哲郎八段、稲葉陽八段、Abemaドリームチーム(羽生善治九段)