新型コロナウイルスの感染拡大を受け、小学校などが一斉に臨時休校をしていたが、23日からいくつかの学校で授業が再開された。
石川県・金沢市の木曳野小学校では、全ての児童が登校時に検温を受け、発熱の有無を確認して校舎へ。卒業した6年生を除く1~5年生が登校し、約2週間ぶりに教室で顔を合わせた。宮城県・富谷市でも、小学校8校と中学校5校で授業が再開された。
一方、感染が拡大する世界各国では厳しい対応が取られている。アメリカでは、ニューヨーク州など人口の3分の1にあたる1億人あまりに外出禁止令が出された。ヨーロッパでは、イタリアで10日から、スペインで14日から15日間、フランスで17日から15日間などの外出禁止令が出されている。
自粛に関して、日本では専門家会議が一部地域の自粛解除を容認するなど、やや緩和ムードが出てきているようにも思われる。臨床心理士で心理カウンセラーも務める明星大学准教授の藤井靖氏は、日本が強権的な「禁止」ではなく国民にも裁量がある「自粛」であることに起因した心境や行動変化のプロセスを次のように解説する。
「世界で感染者が増え、国内でも一斉休校となると、各自の生活に不安や不満を感じつつも『身の安全を確保するために、これは確かに自粛したほうがいいよね』という気持ちが当然強くなる。ただ、それがしばらく継続すると心理的な閉塞感も相まって『この予防法に本当に効果はあるの?』と疑念を持ち始める人が一定数出てくる。どんな予防法でも、“予防できた”という効果を評価することは難しく実感を持てないことから、段々と自粛に対する意識は変わり、モチベーションが下がっていく。一方で、『楽しいことをしたい』『普通の生活をしたい』という欲求はどんどん高まっていくが、予防効果に対する疑問があるところに『日本は諸外国に比べて意外と大丈夫なんじゃないか』という根拠のない判断のゆがみや正常化バイアスが加わると心理的飽和、つまり自粛に飽きてしまう状態に至る」
東京都では、小池都知事の自粛要請を守らず花見の宴会を強行する人が続出している。藤井氏は先ほどの解説に続けて、「象徴となる行事、例えばオリンピックの聖火リレー関連行事や一部のイベントが予定通りに開かれたりすると、日本人は同調性が高いので『みんながやっているから』と欲求がさらに高まってしまう。そこで、抑えられた欲求が爆発して行動化する“消去バースト”になるのは心配。タガが外れたように、コロナ以前の普段の休日にも増して人の移動や活動が増えると、それはさらなる感染拡大のリスクになりうる。今後の理想は一定期間持続可能な『自粛』と『欲求の発揮』のベストミックスが見出されることだが、当然個人差もあるので、こういう心理・行動的プロセスが自分の中にもありうることに気づき冷静になることが大事。心境の変化や感情が、社会の動きに与える影響は大きい」とした。
厚生労働省は18日から31日までの期間限定で、新型コロナウイルス感染症関連の相談をチャット形式で受け付けるサービスを無料で開設している。藤井氏は「『心の相談』というとハードルが高く感じるが、自分が抱えている不安、疑問、いま気になっていること、モヤモヤしていることなどを言語化して外に出すだけでも気分は変わりうる。うまく伝えようと肩肘張らずに、興味を持った方は気軽に試してみては」と促した。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)