3月22日にさいたまスーパーアリーナで開催されたK-1「K'FESTA.3」において、KANA(所属・ジムK-1ジム三軒茶屋シルバーウルフ)が世界王者経験者のグロリア・ペリトーレ(イタリア)を相手に1R、女子軽量級とは思えない“失神KO”決着を披露。豪快な右フックを打ち抜いた瞬間、その衝撃的な結末に会場がどよめいた。
昨年、ライバルのヨセフィン・ノットソンとの2度目の対戦で久々の敗戦を経験したKANA。年末にリベンジを果たし、女子唯一のK-1王者を手にしたKANAに不足していたのが、KO勝利だった。KOアーティストとして無双ぶりを発揮していた時期から一転、1年半以上もKO勝ちから遠ざかっていたのだ。
今回の対戦相手のグロリアは、ISKA女子世界-53.5kg王者という実績と実力の持ち主。ひと回り大きな相手とのスーパーファイトは、今後のKANAの試金石となるいわば力試しの一戦だ。試合は序盤から軽量級選手らしいスピード感溢れる攻防が展開された。両者ステップから攻撃の切り替えが目まぐるしい中、KANAがボクシングベースのグロリアの伸びのあるパンチを見極めながら、じわじわとプレッシャーをかけはじめる。
その時だった、首相撲の攻防を経た一瞬の隙を見逃さなかったKANAが、振り回すような強烈な右フックを一閃。脳が揺れたグロリアが必死で掴みにかかるが、KANAが狭い距離でボディ、完全に空いているグロリアの顔面に強烈な右フック。一階級上の世界女王が大の字で倒れ込み失神した。
女子軽量級の選手とは思えない余りに鮮烈な一撃に会場はどよめき、AbemaTVの視聴者からは「木村ミノル並のパンチ」「アゴに入ったね」「女子で失神KOはヤバい」など驚きのコメントが多数寄せられた。また解説を務めたK-1のレジェンドである魔娑斗はその瞬間「これは立てない、失神してる」と驚きを隠せない様子で話すと「女子だけど殴られたくないですね」とポツリ。ゲスト解説の長嶋一茂も「ホントですね」と反応するほどの衝撃的な光景だった。
23日に開催された一夜明け会見でKANAは試合について「(グロリアは)世界のトップ選手と拳を合わせている選手。直前まで海外から選手を呼んでスパーリングできたことも勝利に繋がった。練習どおりスパーリングの延長線上で試合に入れたのが勝因です」と語った。
KOでの快勝にも「昨日の試合を見ても、まだまだディフェンス能力だったり、まだまだ課題がたくさん見えたんで。これからやっていくことが、明確に見えましたね」と極めて冷静に自己分析する一方、「日本だと同じ女子の選手でキックボクシングルールでスパーリングをバチバチできる環境があまりないんで。海外で、色々な選手と拳を合わせていきたい」とさらなる高みを見据えて本音も明かした。
衝撃KOを飾った日本の女子王者に世界のトップ選手も注目している。「今後戦いたい相手は?」という質問には「昨日、試合終わってからGLORY(グローリー)のアニッサ・メクセン選手や、ティファニー・ヴァン・スースト選手とかからも『おめでとう』っていうメッセージが来て。世界のトップの選手が、この試合を気にしてくれてたっていうのが、自分の中で大きい」と話し、将来対戦したい相手にヨーロッパ女子王者のレジェンド・アニッサ・メクセン(フランス)の名前を挙げた。