気が滅入りがちなご時世にあって、プロレスファンを歓喜させたのが獣神サンダー・ライガーのWWE名誉殿堂入りだ。
世界中にファンがいるだけでなく、ライガーに憧れてレスラーになった者も多い。その一人が、グラビアの世界からプロレスに挑戦している“闘魂Hカップグラドル”の白川未奈だ。
「プロレスが好きになって、いろいろ見たいと思ってTSUTAYAに行った時に見つけたのが『スーパーJカップ』だったんですよ。ジュニアの選手がたくさん出ている中で、やっぱりライガーさんの試合が一番カッコよかった。マスクしているから表情が分からないのに、伝わってくるものがあるんですよね」
トランスフォーマーなど「人間じゃないけど心を持ったキャラクター」が好きだという白川には、ライガーはまさにヒーローだった。
「人間じゃないかもしれないっていう強さとカッコよさがありますよね。レスラーになる前、イベントのお仕事でご一緒した時は会った瞬間に涙が止まらなかった。試合を何度も見たことがあるのに、実際にお会いしたら“実在するんだ!”っていう感覚で。それくらい現実離れしたヒーローなんです、私には」
一昨年8月のデビュー戦から使っているロメロスペシャルはライガーへのリスペクトから。「デビューの時にどんな試合になるか分からなかったですけど、とにかくロメロを使うことだけは決めてました」という。デビューしてからもロメロスペシャルを強化するためのウェイトトレーニングに取り組んできた。
白川が選ぶライガーのベストバウトは、橋本真也戦。階級の壁を越えて真っ向勝負を挑んだ名勝負だ。
「勝っちゃうんじゃないのって思うくらいの試合でしたよね。ライガーさんの試合は対格差があっても関係ない。その魅力が一番出た試合だったと思います」
体格差をはね返す闘いぶりへのリスペクトは、レスラーになったことでさらに強まった。
「私も外国人と対戦するようになって、体格差をどう克服するかっていうのを考えるんですよ。女子プロレスは階級が分かれていないので、なおさらライガーさんの凄さを感じます」
殿堂入りについては「嬉しい」と言いつつ「自然なことだと思います」とも。
「メキシコでもライガーさんは有名だったし、スペインで試合をした時もロメロを出したら“ライガーの技だよね”って。アメリカだけじゃなくて本当に世界中で人気があるんですよ。ただのキャッチフレーズじゃなくて本当の意味で“世界の獣神”。私も海外で活躍したいと思ってるので、そういう意味でも心からリスペクトしてます」
レスラーになってからはライガーに会えていない。今の目標の一つは「あの時のグラドルがプロレスラーになりました」と報告することだそうだ。「その時に(主戦場である)東京女子プロレスのベルトを巻いていたい。チャンピオンとしてライガーさんに再会できたら最高ですね」
文/橋本宗洋