3月22日にさいたまスーパーアリーナで開催されたK-1「K'FESTA.3」で、山崎秀晃が寺島輝との新旧空手対決に臨み、“ゴールデンフィスト”の異名を遺憾なく発揮する豪快KOを披露。伸びのある右ストレート一撃で寺島をコーナーまで吹き飛ばすと、トドメの右を畳みかけて完勝。壮絶なダウンシーンにファンからは「倒れ方がエグイ」「役者が違う」「ダメージが心配だ」など驚きと心配の声が上がった。
怪我からゆるやかに完全復活の道を辿ってきた33歳の山崎秀晃。遅れてきた主役の2020年のターゲットは、スーパーライト級のタイトルだ。
本来山崎は、いち早くK-1のタイトル戦線に絡むべき選手だった。新生K-1誕生前の黎明期から活躍し、Krushではライト級とスーパーライト級のタイトルを戴冠。2016年には-65kgのトーナメントのファイナリストに進んだものの、2017年のゲーオ・ウィラサクレック戦で左ヒザが悪化し1年以上の戦線離脱を余儀なくされた。昨年2019年は古巣のKrushとK-1に参戦し2戦連続KO勝ち。本格的な復活への道筋を着実に築いてきた。
一方、伝統派空手からキックへと転身した対戦相手の寺島は、いわば同じルーツを持つ空手出身K-1ファイターの新勢力。極真と伝統派空手を経て昨年のデビュー以来4勝無敗、さらに3つのKOと勢いのある22歳の新鋭だ。同階級の実力者で同じ空手経験者の先輩山崎を下すことで、一気にタイトル戦線に名乗りを上げたいところだ。
1R、寺島は意外ともいえるサウスポースタイルで試合に臨む。左のインローを狙い素早い動きで立ち回るが、山崎は冷静に相手の動きを見極め、飛びヒザを起点にプレッシャーをかけはじめると、縦蹴りや右フックこそ空を切ったが、パワフルな一発に怖さを感じさせる。
2R、序盤から山崎がアグレッシブな動きを見せる。寺島のローを物ともせず、前に出て強い左、右のストレートを当てる。ここまで何とか山崎の強いパンチを避けてきた寺島だが、プレッシャーに耐えきれなくなり組付きで回避を狙うとホールディングの注意が。再開後もパンチの脅威をのらりくらりとかろうじてかわした寺島だが、山崎の強烈なボディで動きが止まった。さらに顔面への強烈な左右の連打を受け、距離をとろうとした寺島を追うように山崎の伸びる右ストレートが襲い掛かると、寺島は一発でコーナーまで吹っ飛び、さらにトドメの一発をもらって完全ダウン。寺島は中腰から立つことができずにゴングを聞いた。
冷静沈着な試合運びと、持ち前のパンチ力の強さで勝利した山崎はこれで3連続KO。新世代との空手対決でパワーやフィジカルの差に加え、ベテランらしい試合運びと決定力でも格の違いを見せつけたダウンシーンに対して、AbemaTVの視聴者からは「倒れ方がエグイ」「ダメージが心配だ」など驚きと心配の声が上がった。
肉体的にも充実し体重もキャリアで最も重い状態と語る山崎。前回の対戦では接戦の末に敗れた同階級の王者に対しては「安保瑠輝也は僕が倒します」と宣言「いましかないっていうか、いまじゃないかなと思うんで」と、機が熟したことをアピールした。
「正直、いい試合だったなと思いました」と「K'FESTA.3」で安保と死闘を演じた不可思の戦いぶりも讃えた山崎。スーパーライト級は安保、不可思、山崎の3強時代に突入、3者入り乱れてのタイトル戦線が面白い2020年になりそうだ。