「日本は月に何百万台もの車を作れる国。PCR検査の拡大も可能だ」楽天・三木谷浩史会長が訴えた新型コロナウイルスとデジタル社会(1)
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 新型コロナウイルスの感染が拡大、政府が緊急事態宣言を発令する中、自身が所有する大阪市のホテル約600室を軽症者に無償提供する考えを明かしたのが、楽天会長の三木谷浩史氏だ。代表理事を務める「新経済連盟」では「ソーシャルディスタンス」と書かれたロゴや動画を独自に制作。感染防止のために人と人との距離を取ることを呼び掛けている。

 8日のAbemaTV『AbemaPrime』では、そんな三木谷氏が“リモート”生出演。新型コロナウイルス対策にかける思いと、独自の感染拡大防止策・経済対策について語った。

 3月初旬、家族の関係でアメリカに滞在していたという三木谷氏。「3月3日、アメリカの死者数は3人だった。それが1カ月ちょっとで1万3000人に達し、40万人以上の感染が確認されている。僕は“ステルスウイルス”と呼んでいるが、2週間くらいは感染しているかどうかが分からないし80%くらいの人は軽症か無症状で終わる。しかし、その人からうつった人は重症化するという、人類が今まで直面したことのないような極めて難しいウイルスだと思う。アメリカだけでなく、イタリアもスペインもイギリスも、こんなことになるとは思っていなかっただろう。CNNでニューヨーク州のクオモ知事の会見を毎日見ているが、東京はニューヨークみたいになる可能性があると思っている。毎朝7時から世界会議というのをやっているが、スペインやイタリアやアメリカの人たちは悲壮な、地獄のような感覚だ。日本人は楽観的に考えているようだが、舐めて放っておけば同じことになるし、経済的な打撃は大きくなる。僕は東京をニューヨークみたいにしたくない」と話す。

■「日本は月に何百万台もの車を作れる国。PCR検査の拡大も可能だ」

「日本は月に何百万台もの車を作れる国。PCR検査の拡大も可能だ」楽天・三木谷浩史会長が訴えた新型コロナウイルスとデジタル社会(1)
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 そして、三木谷氏率いる新経連が「日本経済救済パッケージ」として安倍総理に提案したコロナ防止策では、「PCR検査と抗体検査について、劇的な検査数の増加を図る」として、「民間から協力できることは全面的に協力をしていく所存である」と謳っている。具体的にはドライブスルー、ウォークスルー、ネットコマース方式により300万人の調査が可能な体制を構築、回復者には抗体検査を実施し、陽性者に認定書を作成、最終的に全国民を検査するという。また、そのための受け皿として「軽症者の受け入れと隔離の徹底」「全国でホテルを借り上げ」「位置トラックアプリの導入促進」「官民が提供する各種ポータルサイトなどの充実強化」を挙げている。

 三木谷氏は「ディスタンスを保つというのは世界的なトレンドで、少なくとも感染をスローダウンさせるためには有効だ。そして、海外と日本の大きな違いは、日本はPCR検査がほとんど進んでいないことだ。世界に先行し、注目を集めているのが韓国とドイツだが、両国に共通しているのが徹底的なPCR検査の実施だ」と指摘する。

 「日本では“PCR検査の拡大が医療崩壊に繋がるからやらなくて良い”と言う人がいるが、そうなるとロックダウンや、そこまでいかなくてもかなりの行動の制限が必要だ。一方、私の友人やヴィッセル神戸の選手も感染したが、実際には80%くらいの人は無症状か軽症で済んでいる。現状では法律によって感染者は2週間は入院させないといけないが、症状が出ていない人が病院のベッドを取ってしまっているということだ。だからまずは軽症の人を早く見つけて、ホテルなど別の施設に行ってもらうという、韓国がやった方式で徹底的にやるべきだと思う。楽天トラベルが全国約5万の施設と契約しているので、“丸ごと貸していただけますか”と一斉に問い合わせをした。結果、現時点で約800弱の施設が、10万室を超える部屋を出しても良いと手を上げていらっしゃる。政府と少しずつ連携しながら、できるだけお手伝いを側面からできるようにしている。また、安倍総理がアビガンやオルベスコなどの治療薬の有効性について語っているし、その言葉を信じるということではあれば、それらを積極的に使っていただきたい」。

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 また、抗体検査に関しても、「正確性については精査していかないといけないが、実は既に感染し、治っているという人がいっぱいいるはずだ。一旦かかって抗体ができた人はかからないわけだから、そういう人たちについては国が色分けし、積極的に世の中に戻っていいと言えばいい。そのためにも、国民を信頼してデータを開示するようにしていただきたい」と訴えた。

 これに対し、元経産官僚の宇佐美典也が「PCR検査を増やすことが必要だというのはわかるが、私は現時点では反対だ。PCR検査を実施するためには臨床検査技師が必要だが、彼らはこれ以上の拡大には非常にネガティブだ。韓国ではSARSの経験から臨床検査技師の育成が済んでいたという背景がある。軽症者の受け入れ先が増えたとしても、日本で検査を拡大させるためには、その育成の道筋をつけなければ、医療体制が崩れてしまうかもしれない」と懸念を示すと、三木谷氏は「日本は1カ月に何百万台も車を作れる国だから、そのオペレーションは作るのは難しくない」と反論。

 「日本はどれくらいの陽性者がいるかも分かっていないので、今わかっている10倍、20倍、30倍いるかもしれない。私の友人もそうだったが、40度の熱が4日、5日続いてもPCR検査をしてもらえない状態だ。アメリカのテレビなどを見てもらえば分かると思うが、基本的にはドライブスルーを作って、1日1カ所で2000から3000件処理している。基本的にはRNAを転写して調べていくわけだが、新しいPCR検査の機器を使えば、2時間で数百というプロセスができるので、中国や欧米でも急速に1日のキャパシティが上がってきているし、日本でも可能だと考えている。我々の関連会社にもそういう会社があるし、臨床検査技師育成のキャパシティを作れる余地はあると思っている」とした。

■「本当にやるべき緊急経済政策は短期間にガツンとやって収めること」

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 さらに新経済連盟は前出の「日本経済救済パッケージ施策」で生活維持と事業継続への支援策も提示。「消費税は当面ゼロ、その他税金も支払い猶予」、労働者・失業者については「フリーランスと派遣労働者への現金給付」「失業給付金の拡充」、営業困難が予想される産業への支援については「外食産業、小売産業、サービス接客産業、交通産業、エンターテイメント産業などは資金練り支援、雇用継続の人件費補填など」、オンラインを前提とした生活・事業については「教育、株主総会などオンラインによる実施」「リモートワークの推進(押印原則などの撤廃)」「マイナンバー制度の積極的な活用」などを列挙している。

 三木谷氏は政府の緊急経済対策について「金額的には非常に大きいものだが、本当にやるべきことは短期間にガツンとやって収めること。なんとなく小さなレストランはいい、密でなければいいというのは仮説の話なので、欧米のように、人の集まる場所に関しては閉めてもらい、そこに直接的な補助をするということを明確に実施することだ。それと中長期的なリカバリーは分けて考えないといけないと思う。個人への休業補償については、理想的を言えば減った人に対して払うべきだはと思うが、事務作業などが極めて煩雑になるので、できるだけ簡略化し、迅速にできる方が実効性はあるのではないかと思う」との考えを示していた。<(2)へ続く>(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

▶映像:楽天 三木谷会長が緊急出演「東京をNYにしたくない」「消費税ゼロにすべき」新型コロナに独自提言

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「私も“フェイス・トゥ・フェイス信者”だったが、考えが変わった」楽天・三木谷浩史会長が訴えた新型コロナウイルスとデジタル社会(2)
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