「日本政府は中国の“外出自粛PR”、“クラスター潰し”と“軽症者収容”同時実施の経験活かして」中国在住の日本人医師が訴え
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 1月23日以降、封鎖が続いてきた中国湖北省・武漢市。8日午前0時、その封鎖が解除され、道路は市外へ向かう車で大渋滞となった。政府当局は、この日、武漢市での新たな感染者は確認されず、「封じ込めに成功した」との見解を示している。

 一方で、こうした政府発表に対しては疑問の声も少なくない。家族が感染したという市民は、「中国での総死者数が3000人あまりという発表があったが、この数字は正しいと感じるか」と尋ねられると、「正しいわけがない。アメリカでは感染者は36万人(現在は43万人)になり、死者は1万人を超えた。武漢市は発生源なのに3000人しか死なないわけがない」と、当局の発表に懐疑的だ。中国メディアも「市内にはまだ1万から2万人の無症状感染者がいる」という武漢大学医師の見解を報じている。実際、多くの感染者を出した海鮮市場は元日以降、今も封鎖中で、再開の目途は立っていない。

 これまで中国政府は武漢市の封鎖や移動の制限のほか、1週間での専門病院建設、地下鉄やスーパーでの検温、市民による相互監視、アプリによる行動追跡・購買追跡といった施策を打ってきた。また、都市封鎖解除後も外出規制は継続。健康状態に問題のない市民のみが市外へ出られるほか、居住区ごとに各世帯の外出人数や時間を制限。通勤には勤務先発行の証明書が必要で、商業施設は夜間の営業時間の制限を受ける。飲食店はテイクアウトのみで、映画館などの娯楽施設は閉鎖されたままだ。さらに“流行第2波”に備え、検査・追跡強化で隔離・経過観察・治療へ。海外からの感染帰国者の流入については、欧米26カ国から帰国する中国人の健康報告義務、外国人は3月28日以降、原則入国できない措置を取っている。

「日本政府は中国の“外出自粛PR”、“クラスター潰し”と“軽症者収容”同時実施の経験活かして」中国在住の日本人医師が訴え
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 中国で医師として活躍する上海東和クリニックの藤田康介氏は9日のAbemaTV『AbemaPrime』で「専門病院、軽症者用病院を作ったのは非常に大きかった。家庭内で感染が広がっていくので、1つは確定者、もう1つは疑似例、もう1つは濃厚接触者、4つ目は発熱してもしかしたら感染しているかもしれない人の4パターンを隔離し、体育館やそういったところにベッドを並べ、軽症者も含めてなるべく治療を受けさせるようにした」と指摘。また、個人の対応として成果が上がったと考えられることとしては、「家に籠ることだ。とにかく、人に会わない。実家にも帰らないということを皆さんかなり厳しくやっていた。私も1カ月、ほぼ家に籠っていた。そして、しっかり手を洗う。外出する時にはマスクをすること」と振り返った

 その上で、現在の上海の様子について「学校再開のニュースも入ってきたし、日常生活が徐々に回復に入っている。発熱外来も極めて落ち着いていて、患者数も非常に少ない状態なので、“ほぼ出ていない”と言えるとは思う。ただ、上海も含め中国全土で気を付けなければならないのが、いわゆる無症状の感染者と、海外から入って来る人だ。実際、イギリス、アメリカ、ロシアからの“輸入例”も多い。そういう人たちをどう対策するかということが、新しい問題となっている。例えば上海の新聞では、“2カ月半ぶりに親子が再会した”といった記事と並んで、体温測定を厳密にする、仕事復帰する人がPCR検査を受けられるようにするといった、新しい対策に関する報道も多い。我々も、基本的には警戒しながら日常生活を戻していくというスタンスで生活している。2週間以内に感染リスクのあるところには行っていないと証明するアプリを持って外出しているし、買い物に行くときにもマスクと手袋をし、レジに並ぶ時には1mずつ開けるなどのことを厳しくやっている。学校の食堂などでも面と向かって座らないようにしたり、大きな集まりを中止したりということもやっている。武漢でも上海と同じ政策を遅れてやっているが、同じか、それ以上の状態だ」とした。

 一方、日本の現状について藤田氏は「1月下旬から2月上旬、上海が春節を過ぎた頃に経験したような状況ではないか。つまり、これから厳しくなる段階にあるのではないかと思う。しかし、日本の対応ははっきり言って緩い。感染者が増えれば増えるほど、無症状の感染者も増えてくる。つまり、厳しさをどのさじ加減にするかということを真剣に考えなければ、だらだらといってしまう可能性は十分にある。これは非常に気を付けなければならない。武漢では当初、軽症だから置いておこうとして失敗し、広げてしまった。そこで中国政府は“クラスター潰し”と軽症者の収容を同時に実施した。この経験を活かして、日本でも軽い方をなるべくピックアップして収容するシステムを作って欲しい」と提言。

 「中国は民族も多く、言葉も文化も違うので、とても大変だ。しかも人口が14億人もいて、面積は日本の25倍だ。それに比べれば日本は団結しやすいと思うし、島国なので外から入ってくるウイルス対策もしやすい。日本なりに工夫うれば、中国のようにしなくても良い可能性も十分にある。ただ、根本的には皆さんがうつさないということが大事だ。日本政府にお願いしたいのは、色々なPRをしてほしい。ポスターでもいいし、垂れ幕でもいい。“今、こういう状態にある”ということを広く、多くの方に知らせていただきたい。中国では、そこら中にポスターを貼っていた。そういった取り組みもぜひしてほしいし、やはり外をウロウロしてはダメだ」。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

▶映像:「日本の対策は緩い」武漢"封鎖解除"から学ぶ教訓

「日本の対策は緩い」武漢"封鎖解除"から学ぶ教訓
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