“ママやめたい”背景にSNSの影響も? ベビーシッター経験者のEXIT兼近「理想とのギャップに苦しんでしまう」
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 「毎日24時間旦那と子どもがいる生活、心身ともに疲れた」「リモート、リモートって、小さい子ども家にいて出来るか!!」止まらない感染者の増加。そして、緊急事態宣言。外出自粛・休校・休業要請などこれまでの日常生活が一変、多くの人がストレスを抱える中、子育てをする母親たちからの悲鳴が聞こえてくる。9日放送のAbemaTV『AbemaPrime』では、そんな母親たちの問題を考えた。

■「子どもは可愛いし愛おしい。だけど離れたい」「ママだってたまには休みたい」

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 “産後うつ”や“ワンオペ育児”の孤独感など、普段から子育てに様々な葛藤を抱える母親たち。その苦悩を描いた『ママをやめてもいいですか!?』(公開中)を手掛けたのが、家族に関する問題をテーマに映画を制作してきた豪田トモ氏だ。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、現在はオンライン上映を実施しているが、「子どもは可愛いし愛おしい。だけど離れたい」「ママだってたまには休みたい」など、作中に登場する母親たちの心の声に共感が広がっている。

 同作に関連して行われた調査によると、実に77%の母親が「ママをやめたい」と思ったことがあるという。

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 ベビーシッターのアルバイト経験もあるEXIT兼近大樹は「本当はもっといると思うし、そんなことないと思い込んでいるだけの方もいると思う」と話す。「特に今、SNSなどで“この人はこんな幸せそうな家庭を築いている”と、よそのいいところばかりが見えてしまう。そして、それに比べて自分は何をしているんだろう、私はいつも一人で子育てだけしている、お洒落なカフェに行けていないな…と、理想とのギャップに苦しんでしまう。子育てをするのが母親だというのは一種の洗脳だったとも思うが、多様化してきていることも悩みに繋がっているんじゃないかと感じる。“十家族十色”というか、いろんな形があることをまず意識してもらうことが大事だと思う」。

■「虐待をしてしまうか自分が死ぬかのどちらかしかないと思った」

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 「意味もないのに泣けてきたり、子どもが可愛いと思えなくなってきて、すごく悩んだ。こんなんじゃ母親って言えないんじゃないかと。寝る時も、この子を死なせなかった、それだけのために生きてるという感覚になり、虐待をしてしまうか自分が死ぬかのどちらかしかないと思った」。

 薗部陽花さんも、ワンオペ育児状態が続き精神的に追い詰められ、“産後うつ”になってしまった一人だ。結婚して1年半、誕生した念願の長男。幸せ絶頂のはずだった。「やはり稼ぎがないと子どもは育てられないので、“子育てを手伝ったことで経済が成り立たなくなったら、それも責められるんでしょ”、と言われたこともある。その時は何も言えなかったが、我慢が爆発して修羅場になった」。

 3歳年上の夫の雄一さんは、当時、家事と育児は全て妻任せだったと振り返る。「妻が大変だと言っていても、子育てって大変なものだと思うし、みんなもやっていることだし、自分にも仕事があるし…と、あまり真剣に取り合ってなかった。でも、僕がやり方を変えないと家族がダメになっちゃうって思って、ようやく行動した」。仕事を在宅勤務中心にし、一緒に子育てをしようと決めた2人。「ママに育児と家事の負担がめちゃくちゃ偏っていて、父親不在という構図がおかしかったと思う」。

 陽花さんは「私自身は“ママをやめたい”と思ったことはないが、“ママってなんだろう”ということはすごく考えた。やはり皆さんの中に、ちゃんと育児をして、家事をして、仕事をして、笑顔でいてという、“理想のママ像”があると思う。そんなのがママだとしたら、やめたいと感じると思うし、ママという言葉の重さを日々感じている」と話した。

■漫画家・しろさん「子育てはすばらしいと、手放しには言いづらい」

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 精神科医(周産期メンタルヘルス)の山下洋氏は、陽花さんのようなケースについて、「だいたい10人に1人。多く見積もると7人に1人くらいはいると考えられている」と話す。「産後の体の変化、ホルモンの変化、あとは生活の変化。赤ちゃんが生まれてくることで劇的に生活が変わるので、そういったストレッサーが原因となって産後うつにつながっているのではないか」。

 さらに山下氏は「いろんな調査によって、男性も女性とほぼ同程度の方がうつ病・うつ状態になっているというデータが得られている」と指摘する。

 職業柄、家にいることが多かった漫画家のしろさんは、子育てにも積極的に参加していた。しかしそのことで仕事とのバランスが崩れ、うつ状態に陥った。「長女が1日中泣いているような感じで。家にいたので逃げ場がなくてどんどん滅入っていった。今はこなすので手一杯。子育てはすばらしいと、手放しには言いづらい感じ」と明かした。

■小室淑恵氏「"産後うつ"は、産後2週間から1か月がピーク」 

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 「1人目を育てている頃、自分の生活はこんなにも変わってしまったのに、夫はまるで何事もなかったかのように毎日残業し、飲み会に行く。私には飲み会に行く時間も1人の時間もしばらくやってこないのかな、一体これはどういうことだ、という感覚になった。寝かしつけようとして何度も失敗して、やっと上手く言った瞬間に夫が帰ってきて、ドアの音で起きてしまったり。殺意が芽生えたことが何度もあるし、“二度と帰ってこなくていい”と喧嘩になったこともある」。

 ワーク・ライフバランス社社長の小室淑恵氏も、陽花さんと同じような気持ちを抱いたことがあると話す。

 「まさに今の女性たちが体験しているのが、こうした“孤独な育児”だ。母親は妊娠中に出ていたホルモンが出産後に出なくなるので、日光を浴び、睡眠を取ることが大事になるが、子どもは生まれてから1カ月は外気に当てられないので家の中で過ごすことになるし、2時間おきの授乳もある。しかし会社に行っている夫に悪いと感じ、夜泣き対応も全て自分で引き受けてしまう。そうしたことが理由で、産後うつは産後2週間~1カ月がピークだと言われている。一方、この時期に“いつか育休取ろうかな”と言って実際には取らない男性がたくさんいる。この時期に集中して休みを取ってくれれば、状態も大きく改善できると思う。実際、1人目が生まれた時に夫の帰宅時間が遅く、家事育児の参画時間が短い家庭ほど、2人目以降が生まれていないというデータが厚生労働省から出ている。熟年離婚をした夫婦の調査でも、妻にいつから別れを検討したかを聞くと、多いのが“育児期”だ。実は夫婦の分かれ道はその頃から始まっていて、お金を持ってくるうちは我慢していたというだけだということだ」。

■社会と、個人、それぞれの解決策は

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 では、こうした状況を打破するために、社会は、そして個人ではどのようなことができるのだろうか。

 小室氏は「希望が持てる話として私も驚いたのが、自民党に“男性育児休業プロジェクトチーム”が立ち上がり、年配の議員の皆さんがこぞって“男性の育児休業は重要だな”と言っている。そして秋の国会に提出する法案の骨格ができてきているが、男性の育休を4週間程度、100%の補償をしてとれるようにしてはどうかという案も入っている。これは奇跡だ。これをウォッチし、法律として通るところまで無傷でいけるかどうかをしっかり見ていかなければならない。また、男性も妻を支えたくないわけじゃない。育休が取れる状況なら、もっと多くの人が取っていると思う。しかし、“お前、育休なんかとったらどうなるかわかっているよね”と言われるような職場がまだ大半だ。実際、ある化学メーカーでは育休を取った男性が、復帰2日後に左遷されるという“パタハラ”が起きている。こうしたことは法律で明確に禁じるべきだし、国として企業に育休取得義務と、その間の休業補償、特に産後1カ月に関しては100%にしていくということを思い切ってやらなければいけない。そして、そうした実態を就活中の学生にも見える化していかないといけない」と提案。

 また、「家庭内では家事代行サービスも使えばいいと思うが、料金を聞いた夫が出し渋るということが起きがちだ。かといって自分がやるかといえば、そうでもない。そこでまずは家事を分担し、ポイントを付けてみるといい。そうすると、ご飯の片付けを3日連続くらいでやった夫は“食洗機買おう”と言いだすはずだ(笑)。そういうプロセスを踏んでいくのも大事だと思う」とした。

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 EXIT兼近は「僕が気になっているのは、夫のお母さんに気を遣ってしまうパターンもあるんじゃないかということだ。日本全体で外部のサービスを使いやすい状況を作るのも大切だと思う」とコメント。相方のりんたろー。は「僕も兼近と話をするまでは古い考えを持っていたし、自分の子どもを愛せないと思うって、どういう人だろうと思っていた。どんどん甘えて、色々なものを使っていこうという考えになった」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

▶映像:"ママをやめたい"が77%に「もっといると思う」「多様化が悩みに?」EXIT兼近と育児を考える

"ママをやめたい"が77%に「もっといると思う」「多様化が悩みに?」EXIT兼近と育児を考える
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