リモートワークで浮き彫りになる“ハンコ文化” 政府は民間よりも改革が先行していた?
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 新型コロナウイルスの感染拡大に関する緊急事態宣言から2週間。人と接触する機会を“最低7割・極力8割”減らすことが呼びかけられ、企業ではリモートワークへと働き方の変化が進む中、ハンコを押すためだけに出社することを疑問視する指摘する声が上がっている。

 実際、アドビシステムズ株式会社がテレワークを行なっている500人を対象にアンケート調査を実施したところ、書類へのサインや捺印で出社した経験があるか調査したところ「頻繁にある21.4%、ときどきある42.8%、ほとんどない21.6%、全くない14.2%」と、“ある”が64.2%という結果になっている。

 企業間取引や金融機関への提出書類、社内承認などの場面で根強く残る日本のハンコ文化。「はんこ議連」の会長も務める竹本直一科学技術・IT担当大臣が15日、「しょせんは民・民の話なので」との発言したところ、GMOインターネットの熊谷会長は「印鑑廃止」に向けて動くことを表明し、話題を集めた。20日の『ABEMA Prime』では、この問題について自民党行革推進本部で規制改革チーム座長を務める小林史明衆議院議員に話を聞いた。

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 まず、竹本大臣への批判について小林議員は「責められているのがちょっと気の毒だと思っている。というのも、昨年にはデジタル手続法というものが成立していて、各省庁にハンコの手続がいくつあるのかについての棚卸しも終わっている。大体1万3000くらいあるということで、前に迫る手続きで必要なものについては4月、5月、6月で一つずつ解消していくことになっている。その上で、5年でデジタルファーストにしていくことが決まっているので、“その上で残るのは自治体の手続きと民間だ”という発言だった。そこだけが報道されているということだ」と説明する。

 「どんな法律も、“なぜこっちに予算をつけるのか。この法律はなぜ変わるのか”と、色々なところから反発がある。ハンコの手続きが減れば、自分たちが大変になるという意識がハンコ業界の中にはある。“まちのハンコ屋さん”の思いもあるし、例えば山梨県には精巧な印鑑を作ることを生業にしている方々がいらっしゃるし、そうした産業を守りたいという思いもある。私も数々の規制改革に携わってきたが、業界団体が反対しない規制改革はない。しかし、ちゃんと話をして、“こっちに進まないと生き残れないし、幸せになれます”という説得をして、新しいルールを決めていくということだ」。

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 その上で小林議員は「まず、ハンコを押す目的が何かを整理する必要がある。大きく分けて意思表示と本人確認の2つがあり、印鑑証明をされた実印を押すことには意味があっても、意思表示だけなら欧米のようにサインで十分だ。場合によってはメールでもいいかもしれない。会社間の取引についても、民法の専門家や弁護士に確認すると、メールで証拠が残っていれば十分に成立するというものが実はたくさんある。そういった整理を我々も一緒にやりながら事例を提供したり、経産省などからガイドラインを出したりするということもありえる。すでに印鑑証明と印鑑に代わる手続きとして電子署名を提供している。ただ、電子署名のシステムのユーザーインターフェースが非常に悪い。また、欧米では導入されている“eシール”にまつわる法律もない。そうしたところは整備をする必要がある」とした。

 幻冬舎の箕輪厚介氏が「本当にハンコが要らないというなら、政府が“廃止だ”というメッセージを発しないといけないと思う。しかし、はんこ議連の会長がIT担当大臣になり、就任時には“ハンコも残しておかないといけない”と言った。それでは民間は変わらない。コロナでの対応を見ていても、日本には技術がないわけではないのに、政府の“ITを使う”という部分が弱い気がする。ハンコひとつ変えられないというのは、地震や水害など、これからの有事の際にリスクになると思う。もっと小林さんみたいな人が前面に立って進めることはできないのか」と疑問を呈すると、小林議員は「先日、ある大学院生がTwitterで“奨学金をもらうのに教授のハンコが必要だ、それを押すために学校に行っている”と投稿していたので、日本学生支援機構に来ていただいて、なぜハンコがいるのかと尋ねたら、“すみません。今後、この手続き自体をやめます”となった。そういうふうに一個一個潰していくと、みなさんに“変わったな”ということが分かっていただけると思う。政治がやるから民間も一緒にやろう、となると思う。言結果を出したうえでメッセージしていけば必ず変えられると思う」と応じた。(ABEMA/『ABEMAPrime』より)

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