新型コロナウイルスの影響によって格闘技イベントの中止、延期が続いている。ジムでの練習も満足にできない状況だ。そんな中で、格闘家たちは何を考え、どのように日々を過ごしているのか。現代の格闘技界を代表するトップ選手、那須川天心がABEMAのインタビューに答えている。
主戦場であるRISEの4月大会がなくなった状況に「試合のために生活している」という那須川は「抜け殻感」に襲われた。しかし、そこで立ち止まってしまうような人間だったら、そもそも“神童”と呼ばれるほどの選手にはなっていない。
「僕らは試されているんじゃないか」
そう那須川は言う。今この時を、いかに有意義なものにするか。
「みんな同じ条件じゃないですか。やっていいこと、悪いことは。その中で自分が何をやるか。頭を使える奴が生き残るんじゃないかと思いますね」
今はさまざまな業種で営業が自粛となり、学校も休校、またテレワークなどで多くの人間が自宅にいる。そこで那須川は、SNSでトレーニング動画の配信を始めた。
「家の中でやることがないじゃなく、家の中にいるからできることはないかなって発想になれるかどうか。その差だと思います」
どんな状況でもやれることはある。そう、彼の強さは運動神経や技術だけでなく“発想”そのものにもあるのだ。
「自分を生かすも殺すも自分。一人でも強くなる奴はなる。環境のせいにしちゃダメですよ」
またこんな言葉も。
「何を信じられるかが大事。何を信じるかは自由ですから」
どんな時代であれ、どんな状況であれ、那須川天心が追い求めるのは“強さ”である。そこに一切のブレはない。そして強さを磨き続けた先に、格闘技界を盛り上げるという大きな仕事が待っている。
RIZINの榊原信行CEOがこの夏の「メガイベント」を提唱したように、那須川は「裏オリンピック」の開催を訴えた。キックボクシングやMMAは非オリンピック競技だが、業界が力を結集すればオリンピック級のインパクトを起こす可能性もある。
「今こそ日本が一つになるというか。オリンピックが延期になった今、国民が力を合わせる裏オリンピック(が必要)だと僕は思いますよね」
あくまで視野が広く、見据えている世界が大きい。いつ、どんな状況でも那須川天心は那須川天心のまま、ファンを裏切ることがない。