和田竜光は日本ではDEEP王者として君臨し、現在はONE Championshipで活躍している。世界トップ中のトップであるDJことデメトリアス・ジョンソンにも大善戦。これからONE王座戦線に食い込んでいくだろうと期待されていた。
だが、現在は“コロナ禍”で試合が組まれていない。突然、訪れた試合という目標のない日々を格闘家たちはどう過ごしているのか。ABEMAのインタビュー映像には、内装業の仕事で賃貸アパートの清掃に勤しむ和田の姿があった。彼はメジャーな舞台であるONEを主戦場にするようになってからも、仕事を続けているのだ。
「格闘技の試合はケガしたらできないし、病気したらできない。そうなったら収入がなくなっちゃうので。だから仕事はやめてないですね」
豊富なキャリアを持つ和田は、スタンド、グラウンドともにフィニッシュ力があり、なおかつ試合運びや戦術眼も武器。まさに“大人の格闘家”だ。その頭脳が“今は格闘技をやるべきではない”と判断した。ジムでの練習も中断している。
「格闘技は(感染者が)一人いたらめっちゃうつりますからね。ちょっと怖くて格闘技はできないですね」
新型コロナウイルスの感染拡大と、それにともなう興行自粛については、選手や関係者によってさまざまな意見がある。誰が正解とも、どの意見が間違いとも言い切れない状況だ。4月17日の『Road to ONE 02』に出場した選手たちは、試合をすることを選んだ。一方で練習も試合もしないという和田の選択もまた、間違いではない。
「試合なんて僕からしたらやらなくていいこと。僕がうつしちゃうかもしれないし、かかりたくもないし。家族にもうつしたくない」
そう考えての行動だ。
「格闘技や試合よりも大事なことがある。仕事があるから言えることかもしれないですけどね」
そう言える和田は、やはり強い。好きな格闘技を我慢するという選択も、強くなければできないはずだ。「やれることをやるしかない」いずれその「やれること」に格闘技が入ってくる。そうすればまた、彼の格闘頭脳もフル回転するだろう。