コロナ禍で困窮の学生から救済を求める声…夏野剛氏「炎上覚悟で言いたい。本当に勉強したい人とそうでない人とでメリハリを付けるべきではないか」
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 29日、国会では異例となる祝日返上での審議が行われ、安倍総理は長期の休校が続く学校について教育の遅れや格差を考慮し、9月入学・新学期開始も選択肢の1つだとの認識を示した。

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 しかし、学業をめぐる問題はそれだけにとどまらない。学生団体「高等教育無償化プロジェクトFREE」が1200人の学生を対象に行ったアンケート調査(29日公表)によれば、経済的な問題を理由に中途退学を検討している学生が20.3%という結果になったといい、自由回答には「自分はバイトがなくなって、親は仕事がなくなった」「学費の支払いに借金するくらいなら辞める」「食費1日200円で省エネ生活を始めた」「パソコンが買えないから授業も受けられない」といった切実な声が寄せられている。

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 この結果を受けてFREEが求めているのが「大幅な学費の値下げ」だ。29日の『ABEMA Prime』に出演したメンバーの村田くるみ氏(中央大学2年)は「2人に1人が奨学金を借りている状態で、アルバイトが主な収入減になっている学生もいる。そんな中、親の収入が減少した学生が47.8%、親の収入がゼロなったと回答した学生も6.3%という状況がある」と説明する。

 こうした現状や提言について、前文部科学大臣の柴山昌彦衆議院議員は「大変深刻だと思う。その意味でも、国民1人あたり10万円がなるべく早く支給されなくてはならない。ただ、この給付金は1回限りの措置なので、第2次経済対策も考えていかないといけないし、継続的な学生の支援についても、さらに考えなければいけない」と話す。

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 現時点での政府の対応・支援には「就学支援新制度等・7億円(補正予算案):授業料の減免や給付型の奨学金を支給」「授業料納付期限延長:文科省は各大学に経済的配慮を求める。全国のほぼ全ての大学(国公立の100%、私立の96%)が前期授業料の納付猶予制度を新設」、遠隔授業実施に必要な環境整備の支援などがある。加えて柴山氏ら自民党文部科学部会では、萩生田文部科学大臣に「授業料減免や独自給付金など大学の支援策を国が支援」「学生の家賃補助について検討を促す」「取り組みに大学格差が生じないよう促す」といった内容を申し入れている。

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 「大学の窓口は閉まっているのに皆さんには振込依頼が来るということで、学生の皆さんの精神的な負担は増すばかりだ。令和2年度における授業料の納入猶予、あるいは分納、一歩進んで減免についてどのくらい考えているのか、文部科学省から問合せをさせていただいた。その結果、大学の9割近くが延納あるいは分納を検討、あるいはすでにそういう制度を実施していると答えている。大学とコンタクトを取れていない方も多いと思うので、文部科学省からも依頼をかけている。ぜひ大学に確認していただけたらと思っている」。

■夏野剛氏「炎上覚悟で言いたい。本当に勉強したい人とそうでない人とでメリハリを付けるべきではないか」

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 一方、ドワンゴ社長の夏野剛・慶應義塾大学特別招聘教授は「先程のアンケートでは、7割が“考えない”と答えている。前期の学費は3月末に支払い済みのはずなので、むしろ深刻化するのは9月以降だと思う」とした上で、「あえて炎上覚悟で言いたい」として、次のように問いかけた。

 「僕は大学教員でもあるが、全ての学生が本気で勉強したいと思って大学に来ているわけではない状況が長らく続いている。アルバイトをして遊びたいという学生や、3月にはこの状況下でヨーロッパ旅行して帰ってきた学生がものすごくいる。その意味でいうと、本当に勉強したい人は救うし、奨学金もいくらでも用意するべきだと思うが、この際、辞めたい人は辞めてもらうというメリハリをきかせた方がいいのではないか」。

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 作家の乙武洋匡氏は「文系ならオンライン授業が主流になってもそこまで大きなデメリットはないと思う。ただ、理系では実験ができない、施設が使えないという中で授業料が全く変わらないというのはおかしいと思う」と指摘。タレント・エンジニアの池澤あやかは「大学によって学費も違うので、緊急奨学金のようなものの方が効率的に学生を救えるのではないか。また、オンライン授業だけの場合は学費を安くするといった対策を取ることで、大学に通える人も増えるのではないか」とした。

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 東京工業大学で非常勤講師を務めるお笑いタレントのパックンは「僕の授業では1分でも遅刻すると罰金を取るという非常に厳しいルールにすることで、ようやくやる気のある学生だけに絞ることができた。今の社会は大学に行くか行かないかで生涯収入に大きく差が出るし、大学に入る事が目的になってしまっている。やる気のある人だけが大学に行き、しっかり勉強する代わりに、無償で行けるというような制度作りと、やる気のない人が大学に行かなくてもいいような世の中に変わっていってもいいのかもしれない。池澤さんの言ったような仕組みは既にアメリカにあって、ハーバードであれば学士号はもらえないが、エクステンションスクールの卒業証明書がもらえるようになっている。また、大学側としては海外からの留学生もいなくなっているので、大学側も収入面で困っていると思う。救済しながら制度を考え直していってほしい」とした。

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 村田氏は「個々人や学年によっても大学に行く目標、意義は違うと思う。その意味では、本当に学びたい学生だけ救うべきだ、というのはそうかもしれない。ただ、今はコロナの影響によって学ぶことを続けられない学生が多く存在しているので、そこに対しての支援を求めたいということだ。また、私たちFREEが全生徒一律で学費半額を求めている理由は、採用・不採用が年収で決められてしまう奨学金では救いきれない学生がいるので、一律でということを訴えている」とした。

 柴山氏は「私の大臣時代、低所得の方で本当に学びたい人に対しては入学時の成績要件を取っ払い、大胆な学費の支援をする仕組みを制定し、この4月からスタートしている。4月以降にコロナによって家計が急変した学生さんに対しても、この制度をしっかりと適用させるということを我々としては考えている。一方、大学独自の奨学金あるいは給付金、授業料の減免を検討しているところもあるが、家計が急変した場合にはこうした支援についても国がしっかり応援することを考えている」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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