5月3日にプロレスリング・ノアのTVマッチが放送され、前歯が吹っ飛び、口から鮮血が滴る激闘にファンが騒然とした。
この大会で行なわれたのは、ノアマットの有力ユニットである「杉浦軍」と「金剛」の対抗戦。メンバー6人ずつがシングルマッチで対戦し、さらにメインイベントでは6対6のイリミネーションマッチが組まれた。
シングルの最後の試合、つまり大将戦は、杉浦貴vs征矢学。杉浦軍のリーダーにしてGHCナショナル王者である杉浦と、ノアに参戦するようになったばかりの征矢という新鮮な顔合わせだ。
パワフルなファイトが持ち味の征矢は、杉浦に対しても当然のように真っ向勝負。杉浦もそこに手応えを感じつつ「俺にはやりやすい」とも。今月で50歳になる杉浦だが、常に最前線で闘い続けてきた実力を見せつける。とりわけ鋭角に突き刺さるヒジ、ヒザは強烈だ。杉浦の激しい攻撃を受け、試合途中に歯が折れたのか、征矢の口からは激しい出血も。これにはABEMAの視聴者から「歯が折れてる」「前歯がない…」「歯がスゴイことに」など、驚きのコメントが多数寄せられた。
そんな壮絶な試合ぶりが、征矢の覚悟、決意を表していたとも言える。無我でデビューし全日本プロレス、WRESTLE-1と渡り歩いてきた征矢。ノア参戦はWRESTLE-1の活動停止に伴うものだった。ここで真のトップに立てるか。征矢にとってノアは単なる“新天地”ではない。レスラー人生をかけて勝負する場所だ。専門誌のインタビューでは、自ら「ラストチャンス」という言葉も。
征矢といえば、大森隆男とのタッグチーム「GET WILD」で知られている。武骨だが愛敬のあるキャラクターも魅力だった。しかし金剛では“脱ワイルド”をテーマとした。得意のラリアットも、ワイルドボンバーから「弾道」に改称。過去と決別してまで、征矢はノアにかけている。弾道にチョップ、コーナーからのアバランシュホールド。征矢は今の力を存分にぶつけた。結果として杉浦のオリンピック予選スラムで3カウントを聞いたが、ノアのトップ戦線で闘っていく実力を見せたし、何よりもこのリングにかける気迫が伝わってきた。視聴者から沸き起こった「ヤバイ」「すごい」の大合唱もまた、この一戦の熱量を物語っていた。
メインでもド迫力ファイトを展開、そやは金剛の勝利に貢献している。杉浦との再戦、あるいはGHCヘビー級王者・潮崎豪への挑戦など、この日の征矢が見せた“血の決意”は今後につながっていくだろう。