人生の真理や機微を述べて処世の戒めや教訓となるような言葉、格言。競輪にも先人たちが残してくれた格言がいくつか存在しています。今回はその中でも最も有名なものを紹介しましょう。
▶映像：連日、レースを生中継 ABEMAの競輪・オートレースチャンネル
「先行一車は黙って買え」
「先行一車」というのは脚質が「逃」の選手が1人だけで他は全部「追」であるレースのことを言います。「逃げイチ」と呼ぶ人もいます。そのような「先行一車」のレースがあったら、先行の選手、すなわち「逃」の選手の頭から黙って買っておけという意味です。要するに「先行一車」のレースでは「逃」の選手が高確率で勝ちやすいということ。
競輪はスタートから全力で駆け抜けるといったレースではなく、駆け引きによって展開します。駆け引きを行うのは自力型の先行選手です。例えばこんな形の三分戦の場合。
・（1）逃（2）追（3）追
・（4）逃（5）追（6）追
・（7）逃（8）追（9）追
先行する（1）と（4）と（7）の選手が逃げたり捲ったりしながらレースは展開します。その仕掛けどころが結果を大きく左右するのです。
ところが、例えばこんな形の三分戦だった場合。
・（1）逃（2）追（3）追
・（4）追（5）追（6）追
・（7）追（8）追（9）追
自力型は（1）だけ。仕掛けられるのが一車であれば駆け引きはほぼありません。（1）が好きなタイミングで仕掛けられるため、圧倒的に有利となるわけです。自分の脚が十分に残っているタイミングで出て行けるのですから、余裕を持って逃げられるでしょう。なので「（1）の頭から黙って買っておけ」＝「先行一車は黙って買え」になるわけです。
ちなみに脚質「逃」の選手が1人だけで他は全部「追」、かつ「逃」の選手の決まり手が「逃」＞「捲」である場合が最も純粋な「先行一車」、「純正・先行一車」と呼べるものとなります。さらに「逃」の選手の競走得点や勝率が誰よりも高ければ、かなりその選手の頭で決まりやすい番組と言えるでしょう。
一方、「逃」の選手の決まり手が「逃」＜「捲」である場合、普段は捲りに構えている選手ということになります。先行一車なので逃げるでしょうが逃げのタイミングに慣れていないため、ややリスクが生じます。それでも風を切るのは1人だけになりますから、そのような「準・先行一車」でも有利であることには変わりません。
いずれにしても「逃」が1人で他が全部「追」であれば「逃」が勝つ確率は非常に高いと言えます。ただし問題は「逃」が1人しかいないので、本来ラインを組むべき地域じゃない選手も番手を奪おうとしてきます。上述したような三分戦になることはほぼなく、（4）や（7）は（1）の番手の（2）と競りになるはずです。そうなると（1）（2）（3）というラインでは決まりにくくなります。つまり「純正ないし準・先行一車は黙って買うもヒモ荒れやすし」ということになるのです。
純正や準以外にもうひとつ、「実質・先行一車」になる番組があります。例えばこんな形の三分戦だった場合。
・（1）逃（2）追（3）追
・（4）両（5）追（6）追
・（7）両（8）追（9）追
「両」という脚質は追込みだけでなく逃げや捲りもある自在型の選手。よって「逃」は一車ですが「先行一車」にはなりません。しかし「両」の選手の決まり手に「逃」や「捲」がほとんどなく「差」「マ」ばかりであれば、それは「実質・先行一車」になるのです。
この形で（4）や（7）の競走得点や勝率が高い場合、予想が割れます。強い選手が勝つのか、それとも先行意欲の高い選手が逃げ切るのか。結果は往往にして「逃」の選手が勝ちます。そこでこう叫ぶわけです。
「だから『先行一車は黙って買え』って！」
こうして多くの競輪ファンが「あるある」と認めることになった格言。是非覚えておいてください。
▶映像：連日、レースを生中継 ABEMAの競輪・オートレースチャンネル
▶投票から各種データのチェックまで「WINTICKET」
