「私たちが声を上げなければ変わらない」「解説を待っているのに、テレビは扱ってくれない」 “#検察庁法改正案に抗議します”の背景に国民の不安
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 「都合よく周囲を固めるため」「全ては検事長のための改正」といった安倍政権批判、はたまた「なんでこんなに抗議が拡大してるの?」「何が問題か理解できてる?」との反論。9日の夜から10日にかけ、著名人も含む多くの人たちが投稿した「#検察庁法改正案に抗議します」。

 定年を直前に控えた東京高等検察庁の黒川弘務検事長について、政府は1月末、半年間の勤務延長を閣議決定。さらに今国会に、検察官を含む国家公務員の定年を延長する法案を提出していることに対し、黒川氏の次期「検事総長」、つまり検察官の最高位への就任を睨んだものだとして、様々な意見が噴出し続けている。

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 11日の衆院予算委員会では国民民主党の後藤祐一衆院議員が「総理、自分を守ってくれる守護神として黒川検事長のような人が必要だから法案を出したのではないか」と追及。安倍総理は「それは全くあたらない。今般の国家公務員法等の改正法案の趣旨・目的は高齢期の職員の豊富な知識、経験等を最大限に活用する点などにあるところ、検察庁法の改正部分の趣旨・目的もこれと同じである」と答弁している。

 11日の『ABEMA Prime』では、この問題について議論した。

■「お肉券が現金給付に変わったのも皆がネットで発信したからだと思う」

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 「#検察庁法改正案に抗議します」をツイートしたギャルユニット「blackdiamond from2000」のあおちゃんぺは「私が調べた限りでは陰謀論のようなものは無いと思ったが、それでもアベノマスクが届くのを今でも待っているし、給付金の問題もまだまだだと感じている。それなのに、今やることなの?と思った。お肉券が現金給付に変わったのも、皆がネットで発信したからだと思うし、言わなきゃ絶対変わらないと思う」と説明。

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 同じくツイートした幻冬舎の編集者・箕輪厚介氏は「僕は“権力とくっついている”とか“安倍側だ”など言われることがあるが、そんなことは全くない。むしろ森友学園問題やマスクを受注した4社目の実態がよくわからないという問題などがのらりくらりとかわされたまま次のネタに行ってしまうということが続いていると感じているし、今回の法案についてもNHKと週刊文春の報道を見て、みんなが不可解だと思っていることを強行してしまう姿勢に対しては声を上げた方が良いのではないかと思った」と明かし、「政治に関しては、すぐに“わかってねーのに”と冷笑的にバカにしてくるインテリぶった奴ら、専門家ヅラした奴らが出てくる。芸能人たちも、それが怖くて意見が言えないんだと思う。しかし、あらゆるジャンルにおいて、玄人や分け知り顔の人だけが発言し、素人が口を出せなくなると衰退が始まる」と訴えた。

■「黒川検事長の検事総長就任と直接的な関係はない」

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 今回の検察庁法改正案のポイントには、「検察官の定年を65歳に引き上げる」「次長検事と検事長については、63歳以降は職位なしの検察官になる」「次長検事と検事長は内閣が定めた事情がある場合、最長で3年間引き続き同ポストで勤務できる」といったものがある。

 一方、政府は今年1月、黒川検事長の定年を半年間(8月まで)延ばすことを閣議決定しているが、これは最大で1年間(来年2月まで)延ばすことも可能だ。こうしたことから、今回の改正案が黒川検事長を検事総長に任命するためのものだという指摘がなされている。ただ、この改正案の施行は2022年4月と定められており、検事総長の就任との直接的な関係はないことになる。

 法律事務所ZeLo所属の徐東輝弁護士は「黒川検事長の勤務延長や定年延長がこの改正案で正当化される、合法化されるという憶測、あるいは検事総長にするための法改正なのだという憶測がTwitter上に数多く見られるが、それは誤解だ。黒川検事長はすでに勤務延長が閣議決定されているし、来年まで勤務延長ができる以上、今回の改正案が通らなかったとしても検事総長への道は開けている、というのが正しい理解だ。それでもこの法案によって、1月に行われた異例の閣議決定と同じような制度が作られたということにはなる」と説明する。

■それでも残る「なぜこのタイミングで…」の疑問

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 こうした疑問に関して、11日、日本弁護士連合会は会見を開き、「これによって内閣や法務大臣が検察官の人事に強く介入することが可能になり、検察官の独立が脅かされることになる」と指摘。一方、弁護士資格も持つ大阪府の吉村知事は「検察組織は強烈な国家権力。強大な権力の最終的な人事権を誰が持つべきかというのは本質的に考えなければいけない。僕は内閣の代表である組織、国民に選ばれた人たちが人事権を持つ方が健全だと思っている。反対の人がおかしいというなら、誰が任命権者になるべきかということ」と話している。

 徐弁護士は、「知っての通り、政財界を巻き込んだ事件が起きる中で、政府と検察は常に緊張関係にあり続けてきた。そして、その関係を国民は不断の努力で見続けなければいけない。そうした中で、内閣は検察の人事にどれだけ関与していいのか、という点こそ、議論されてほしい内容だ」と話す。

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 「検察官、検察組織は、政治家をも訴追できるという強い権限を持っている。だからこそ政治からは距離を取っていなければならない。他方、その強い権限が暴走しないよう、国民が選挙で選んだ政治家が適切にコントロールをしなければならないのも確かだと思う。この微妙なバランスについて、もっと議論を深めていかないといけないということだ。しかし今回の法案では、定年延長、あるいは役職定年に対する特例などについて、様々な箇所で“内閣の定めるところにより”となっている。これではどういった場合に延長ができるのかということが曖昧だし、国民としては白紙委任のような形で内閣に運用を任せるしかない。国会の質疑等ではこの点を明らかにしていってほしいと思うが、法案が提出されている内閣委員会はコロナ特措法や著作権法などの議論も進めなければならない。そうであればこそ、憲法の問題にまで発展しそうなこのセンシティブな議論を、なぜ今このタイミングで、と疑問を覚える」。

 今回の法案の問題点を整理・解説したnoteが分かりやすいと評価されていることについて徐護士は「皆さんのTwitterを見ていて感じたのは、やはり漠然とした不安を抱えているということ。それに対して専門家にできることは、何がファクトなのか。どこからが適切な不安であり、適切な疑問なのかということを整理して提示することではないかと感じた」と話した。

■「みんなが解説を待っているのに、テレビは扱ってくれない」

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 徐弁護士のnoteを読んで論点がクリアになったと話すジャーナリストの堀潤氏は「国家公務員法と検察庁法の改正が束ねられているが、後者の法案については分離させて、後でゆっくり議論した方がいいと思っている」との立場を示し、「僕は今回のように賛成と反対の意見が対立して白熱する場でファシリテーターを務めることもある。そういう時、“実際に法案に目を通したことがある方は?”“この用語を説明できる方は?”と尋ねてみると、意外なことにスーッと引いてしまうことも多い。今回の問題についても、やはり何が問題なのか、まずファクトを整理して解説するのがメディアの役割だと思う。しかしテレビは与野党がやりあっている場面ばかりを取り上げ、肝心な部分はインターネットに委ねてしまっているのではないか。少なくとも黒川検事長の定年延長の問題については1月頃からリアルタイムで進行してきた話。もっと前の時点できちんと報じ、議論をすべきだった。私たちはそういうことへの警戒心も持たいないといけないと思う」と指摘。

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 カンニング竹山は「僕もちょっと勉強してみて、法律の話なので複雑だけど、ちょっと冷静になって考えた方がいいんじゃない?とも感じた。でも、“なぜ今の時期なの?”と思うし、今までのことがあるから、“ちょっと信頼できないんじゃないの?”とも思う。みんながカチンと来たというのもわかる」とコメント。

 その上で「“ネットデモ”という言い方もあるようだけれど、“国民は見てますよ”というアピールの意味ではいいことだと思うし、若い子たちが政治に興味を持って“おかしいんじゃない?”と声を上げられるのは大事なことだ。間違ってしまっても、学び直せばいい。そして、この問題については分かりやすい解説を待っていた人が沢山いると思う。それなのにワイドショーはほとんど扱っていない。そこは反省しないといけないのではないか」と訴えた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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